43歳時点でワークショップ――サントリーHD

サントリーホールディングス㈱(新浪剛史代表取締役社長)は、43歳と58歳の社員を対象にワークショップを開くなどして、40歳代以上の人材に“人生100年時代”へ対応するスキルの習得や主体的なキャリア形成を支援している。
職業人生の折り返し地点から“定年後”も見据えた働き方や生き方を考えてもらうもの。
企業内大学には「100年キャリア学部」を設けた。
長期的な視点で自分らしいキャリアを切り開いていく方法を伝えるコンテンツは、30歳代以下の若手にも好評を博す。

同一制度運用で70歳定年へ――明治安田生命

明治安田生命保険相互会社(東京都千代田区、永島英器取締役代表執行役社長)は、2027年度に営業職を除く内勤社員1万人の定年年齢を65歳から70歳に引き上げる方針を示した。
従来は60歳以上の社員には専用の賃金テーブルを設定していたが、今年4月に撤廃済み。
入社時から70歳まで同一の制度を一貫して適用し、報酬を維持して働けるようにする。
65歳以降は本人の健康状態などに合わせて、週3~4日や短時間勤務の選択肢も設ける予定だ。
任意のタイミングで退職金を受け取り、70歳まで再雇用の嘱託社員として働くことも可能にする。

ドライバー同士が多面評価――カワキタエクスプレス

運輸業の㈱カワキタエクスプレス(三重県亀山市、川北辰実代表取締役)では、運転や荷扱いの技術とともに、あいさつや思いやり、素直さなどの“人間力”を同僚10人が多面評価している。
結果は最高・最低額で7倍の差が付く「スキル給」の改定に用いており、上司評価60%に加えて多面評価を40%反映している。
評価項目は約40に上り、それぞれの採点基準は8~10段階に細かく分けている。
“高卒新卒者”を主要な人材獲得のルートとしており、社会人の基本を叩き込んで、一人前に育て上げている。

第330話「社長の能力定義開示2割」

日本企業で経営者の能力をまとめた「スキルマトリックス」の充実が課題となっている。
日本の上場企業400社のうち、能力の定義まで示した企業は2割に留まった。

企業統治助言のHRガバナンス・リーダ-ズが国内外の主要上場企業について2023年時点の開示内容を調べた。
日本ではJPX日経インデックス400の397銘柄、米国ではS&P500のうち時価総額上位109社が対象となった。
スキルマトリックスは経営陣、取締役などのもつ能力や経験を一覧にしたもの。
取締役の選任を諮る株主総会に向け、招集通知で記載される。
日本企業では97%(387社)が社長や最高経営責任者(CEO)など経営トップのスキルを公開していた。
開示する企業の数自体は米国の92%を上回る。

焦点となるのは開示の内容。
スキルの定義や選定理由まで説明する企業は米国で65%に達するのに対し、日本は21%に留まる。
スキルや経験と、経営戦略の関係を具体的に説明する企業は米国で89%、日本は15%だった。
米国企業では経営陣に必要とされる能力を明確に定義し、職歴などに沿って説明する 傾向が強い。

以上

女性活躍WG 提言活動や若手研修を企画――日本物産

日本物産㈱(守口光徳代表取締役社長)は、長期にわたって女性社員をメンバーとするワーキンググループ(WG)活動を継続し、職場環境の変革や女性社員の意識改革につなげてきた。
組織が直面する課題について話し合い、会社に対して提言する活動を通じて、時差勤務制度の導入を実現したり、幹部候補である若手総合職に対する研修を企画してきた。グループのさまざまな活動と成果を通じて女性社員の意識改革が進展し、今では管理職に占める女性の割合が40%にまで高まっている。

協力施工店の人員確保支援――住友林業

住友林業㈱(東京都千代田区、光吉敏郎社長)は、住宅事業の施工力を維持するため、「施工パートナー推進センター」を設置し、協力施工店の後継者探しや人員確保をサポートする。
施工店から相談を受け付ける一方で、同社の建築現場で働きたい一人親方や新規業者を募集。
請負先や後継者候補として施工店に紹介する。
並行して、自社グループで雇用する「社員大工」の育成を強化するため、専門校の増設も検討中だ。
建設業では大工不足が深刻化しており、昨年、㈱大林組が同種のセンターを開設したほか、積水ハウス㈱が社員大工の採用・育成を強化する方針を打ち出すなど、雇用・請負の別を問わず、人材の囲い込みが始まっている。

ライン長手前へ新等級――高千穂交易

高千穂交易㈱(東京都新宿区、井出尊信代表取締役社長執行役員)は今年4月、若手や女性社員の管理職登用を推進するため、ライン長候補者向けの等級を新設した。
上司の推薦、役員に対するプレゼン試験などを通じて候補者を選抜し、メンバー5人程度のチームのリーダーを任せるもの。
部下の育成や予算管理の業務を経験させることで、早期登用を促す。
4段階洗替え方式を採る基本給については、非管理職における最高水準を確保した。
専門的な知識・技術の習得に向け、昨年には資格手当の対象を約100資格に倍増し、支給額は最大で月額10万円に引き上げた。

第329話「2024年入社の初任給、大卒、高卒で4%超上昇」

民間シンクタンクの産労総合研究所は、2024年4月に入った新入社員の大卒初任給は前年より4.01%高い22万6341円だったと発表した。
上昇率は1991年の5.2%以来の高い水準になった。

大卒初任給の伸びは22年まで1%を下回って推移していたが、23年は2.84%まで高まった。
高卒の初任給も24年は上昇率が4%を超えた。

初任給を引き上げた理由を複数回答で聞いたところ、「人材を確保するため」(81.8%)が最も多く、「在籍者のベ-スアップがあったため」(37.4%)が続いた。

産労総研では「人手不足を背景に、他社よりも高い水準に設定する企業が増えている」と分析している。

以上

四国アライアンス 地銀4行が奨学金返還支援

㈱阿波銀行(徳島県徳島市)、㈱伊予銀行(愛媛県松山市)、㈱百十四銀行(香川県高松市)、㈱四国銀行(高知県高知市)の4行で構成する四国アライアンスは、四国地方で働く若手人材の定着・育成を目的に、奨学金返還支援制度を創設した。
四国各県に本社を置く非上場企業のうち、人材育成や福利厚生の充実に取り組んでいる企業を募り、賛同企業として認定する。賛同企業が採用した新卒・第二新卒社員と四国外から移住する30歳以下の中途社員を対象とし、5年間で最大50万円を支給する。

建設業 「適正企業宣言」制度創設へ――国交省

国土交通省は、今年6月に建設業法が改正され、労働者の処遇改善が建設業者の努力義務になったことから、技能者の資格や就業履歴を業界統一で蓄積して能力を評価する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の利用拡大に向けた3カ年計画案を取りまとめた。
技能レベルに応じた手当や賃金の支払いなど、CCUSを活用して処遇改善に取り組んでいると宣言した企業を公表する制度を立ち上げる方針。
宣言企業には、公共工事の入札に必要な審査における加点や表彰などのインセンティブを付与する。

正社員男性 ピーク時は44.1万円――厚労省 雇用形態別賃金

令和5年賃金構造基本統計調査の雇用形態別集計によると、フルタイムで勤務する男性の所定内給与のピークは、正社員が55~59歳の44.1万円、非正社員は再雇用世代の60~64歳28.5万円だった。
正社員20~24歳の23.2万円と比較すると、それぞれ1.9倍、1.2倍の差が付いている。
短時間労働者については、非正社員・女性の勤続年数別の1時間当たり賃金は、0年が前年比2.4%増の1223円、3~4年が3.7%増の1293円などとなっている。

労働者性 申告基づき原則は判断実施を――政府・規制改革実施計画

政府は6月21日、令和6年度の規制改革実施計画を閣議決定した。
ドイツの制度を参考に、業務委託として働く就業者がトラブル発生前に、自身の労働者性を確認できる仕組みの創設に向けた検討を今年度から始める。
具体的には、労働基準監督署に申告があった場合、原則として判断を行うことを明確化する措置を講じるとした。
ドイツ労働法に詳しい東洋大学の鎌田耕一名誉教授は「労働者性の有無は企業にとっても極めて重要。ドイツと同様、就業者だけでなく、企業からも確認申請ができる制度が求められる」とした。

賞与評価 部下の離職率など指標に――大東建託

大東建託㈱(東京都港区、竹内啓代表取締役社長)は、全国204拠点の全支店長の賞与評価に、部下の離職率や年次有給休暇取得率、障害者雇用率などの「支店健全経営度」を測る指標を導入した。
今年4~9月を対象期間とする10月の人事評価から適用していく。
従来の営業実績による評価のウエートを90%に抑え、10%を同指標で評価する。「成果だけの追求では、持続的な成長は見込めない」(同社広報部)とし、営業職以外の貢献をみえやすくするとともに、支店長に対して「質より量」から「効率・生産性重視」への意識転換、多様な人材が活躍できる環境づくりを促す。

大企業・モデル退職金 大卒・60歳で2650万円――中労委・令和5年 退職金・定年制調査

大手企業のみを対象とする中央労働委員会「退職金、年金および定年制事情調査」によると、大卒・総合職における60歳のモデル退職金は2651万円となり、月数換算では43.7カ月分だった。
高卒・生産労働者は1838万円、46.0カ月分となっている。
退職年金制度のある企業のうち確定拠出年金を導入している割合は73.3%だった。
マッチング拠出の導入率は56.5%に微増している。