内閣人事局と人事院は、国家公務員のテレワークの適切な実施と推進に向けたガイドラインを作成した。
ポストコロナでも流れを後退させず、働き方の1つとして定着するよう取り組むとしている。
推進に当たっては、業務運営上の支障がない限り、職員の希望に応じてテレワーク勤務を可能にするのが基本と指摘。
例外的な扱いとして、新規採用や異動直後など、業務上の都合で希望に応じられない場合や、感染症対策など、希望がなくてもテレワークを命じる場合があることを明らかにしておくべきとした。
月別アーカイブ: 2024年3月
円滑な人材確保 配属予定部署の情報紹介を――厚労省・職場情報提供手引(案)
厚生労働省は、企業が求職者に対して働き方などの職場情報を提供する際の留意点をまとめた「手引」案を作成した。
企業の円滑な人材確保と、労働者の適切な職業選択を後押しする狙い。
女性活躍推進法などでは企業単位の情報の開示を義務付けている項目が多いが、入社後のミスマッチを防止する観点から、配属予定の部署に関する情報なども併せて示すのが望ましいとした。
情報提供の方法としては、自社サイトのほか、企業説明会や選考前の面談、採用面接などの多様な機会の活用が考えられるとした。
業務習得率で時給改定――グリーンズ
全国に約100店舗のホテルを構える㈱グリーンズ(三重県四日市市、村木雄哉代表取締役社長)は昨年、パートタイム労働者向けの新人事制度を導入し、時給改定の仕組みを一新した。
職種ごとに身に着けるべき30~50種類の業務を職種別シートにまとめ、習得した作業の割合に応じて時給が決まる仕組みとしている。
昇給の機会を年2回に増やし、人事評価とは別に自ら習熟をアピールできる「自己申告昇給」の機会も用意した。
併せて、教育用の動画を作成し、自主的な学習と成長を促している。
再雇用制度 高度専門職は同一報酬に――CTC
ITサービス大手の伊藤忠テクノソリューションズ㈱(東京都港区、柘植一郎代表取締役社長、略称CTC)は、今年4月から新たな「嘱託再雇用制度」を導入し、スペシャリストとして定年後も正社員と同じ職務を担い、同等の報酬を得ることを可能にする。
役割の違いに応じて3種類のコースを設け、コース別に2~4段階の格付けも行うもの。
高度専門職コースにおいては、正社員と共通の職務記述書を用い、同じポジションなら月例給も同額とする。
評価に当たっても正社員とともに競うかたちとし、行動評価とMBO(目標管理制度)により賞与でメリハリを利かせる。
職業能力評価 団体等検定制度を創設――厚労省
厚生労働省は、職業能力開発促進法に基づく職業能力検定である社内検定認定制度を拡充し、「団体等検定制度」を創設した。
事業主や事業主団体が労働者などの知識・技能向上のために実施する検定のうち、一定の基準に適合するものを厚生労働大臣が認定する。
社内検定とは異なり、自社の労働者以外の労働者・求職者などの外部人材も検定対象とした。
技能検定を補完し、円滑な労働移動を推進する制度と位置付けている。
社内検定を実施している事業者団体などから、即戦力となる人材確保に向けて外部労働者も受検可能な制度への見直しを求める声が上がっていた。
勤続35年超の大卒・定年退職金 大企業・併用型で2450万円に――厚労省 就労条件総合調査(細部集計)
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」の細部集計によると、一時金・年金制度を併用する企業における勤続35年以上の大学・大学院卒の定年退職金は大企業が2446万円、中堅企業が1804万円、中小企業が1559万円だった。
大企業と中小企業の格差は約900万円、率で36%となっている。自己都合退職に関する退職一時金の受給に必要な最低勤続年数については、「3~4年」とする企業が全体の6割を占めている。
第321話「賃上げ率4%超か」
「今年は昨年以上の熱量と決意をもって、物価上昇に負けない賃金引上げを目指す」。
経団連の十倉雅和会長は2024年の賃上げを巡る春季労使交渉が本格スタ-トした1月の労使フォーラムで方針を示した。
経団連の集計によると、23年の春季労使交渉での大手企業の平均賃上げ率は3.99%だった。
昨年9月の懇談会で十倉会長が示した「4%超」とする水準は実現すれば1922年以来となる。
後に「数字ありきではない」と事実上撤回したが、24年に4%を超える水準を達成できるかは、日本の30年デフレ脱却の是非を占う一つの焦点となる。
野村証券の1月中旬時点の集計によると、23年11月以降の賃上げ表明は大企業を中心に約30社にのぼり23年の同時期の10社弱を上回る水準で推移する。
日本は30年に及びデフレ下で、従業員の雇用を優先したことも賃上げの停滞に拍車をかけた。
主要国の約20年の賃金水準の変化を購買力平価ベ-スで比較すると、米国が1.3倍、韓国が1.5倍に伸びるなか、日本はほぼ伸びていない。
足元で物価高が続き、賃金上昇が追いついていない。物価を考慮した実質賃金は23年12月まで21カ月連続でマイナスが続く。物価高を克服するには継続的な賃上げが欠かせない。国内の雇用者数の7割を占める中小の賃上げも課題となる。
連合は5%以上の賃上げを要求している。00年代以降は22年まで1%台~2%台前半の低水準だった。2年連続で3.5%を超えれば、およそ30年ぶりとなる。3月13日の集中回答の結果に注目が集まる。
以上
第321話「賃上げ率4%超か」
「今年は昨年以上の熱量と決意をもって、物価上昇に負けない賃金引上げを目指す」。
経団連の十倉雅和会長は2024年の賃上げを巡る春季労使交渉が本格スタ-トした1月の労使フォーラムで方針を示した。
経団連の集計によると、23年の春季労使交渉での大手企業の平均賃上げ率は3.99%だった。
昨年9月の懇談会で十倉会長が示した「4%超」とする水準は実現すれば1922年以来となる。
後に「数字ありきではない」と事実上撤回したが、24年に4%を超える水準を達成できるかは、日本の30年デフレ脱却の是非を占う一つの焦点となる。
野村証券の1月中旬時点の集計によると、23年11月以降の賃上げ表明は大企業を中心に約30社にのぼり23年の同時期の10社弱を上回る水準で推移する。
日本は30年に及びデフレ下で、従業員の雇用を優先したことも賃上げの停滞に拍車をかけた。
主要国の約20年の賃金水準の変化を購買力平価ベ-スで比較すると、米国が1.3倍、韓国が1.5倍に伸びるなか、日本はほぼ伸びていない。
足元で物価高が続き、賃金上昇が追いついていない。物価を考慮した実質賃金は23年12月まで21カ月連続でマイナスが続く。物価高を克服するには継続的な賃上げが欠かせない。国内の雇用者数の7割を占める中小の賃上げも課題となる。
連合は5%以上の賃上げを要求している。00年代以降は22年まで1%台~2%台前半の低水準だった。2年連続で3.5%を超えれば、およそ30年ぶりとなる。3月13日の集中回答の結果に注目が集まる。
以上
現金給与総額 1.2%増の33.0万円――厚労省 毎月勤労統計(令和5年平均確報)
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和5年平均(確報)の月間現金給与総額は33.0万円で、前年結果から1.2%増加した。
物価変動を加味した実質賃金指数は2.5%減少し、2年続けて落ち込んでいる。
一般労働者の所定内給与は1.6%増の32.4万円だった。パートタイム労働者の1時間当たりの給与は3.0%(37円)増の1279円となっている。
ベア要求集計 2月末時点で1.2万円超――金属労協
自動車、電機などの5産別でつくる全日本金属産業労働組合協議会(金子晃浩議長)は、2月27日現在の加盟労組の要求状況を明らかにした。
すでに54%の組合が要求書を提出し、そのうちの9割弱が賃金改善分を要求した。
「賃金構造維持分を確保したうえで1万円以上」との方針に対し、平均要求額は1万2000円を超え前年同時期を約6割上回っている。
規模別では大手、中堅規模が1万3000円台に乗せ、中小規模は1万1860円となっている。
自由意思による同意と認めず――東京地裁
東京都内の運送会社で働く労働者5人が、給与体系変更などを不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(小原一人裁判長)は変更を無効と判断した。
同社は10種類以上あった手当を整理し、基本給、愛社手当、定額残業代、通勤手当の4つで構成する新給与体系を提案(図)。
説明会を開き労働者らの同意を得たが、給与水準は変わらないとする一方、残業代の計算基礎となる基礎賃金減少を十分説明しなかった。
同地裁は労働者らが不利益発生を認識し得たとは到底いえないと指摘。自由意思に基づく同意と認められる客観的・合理的な理由がなく、同意は無効とした。
第320話「中小61%賃上げ予定」
日本商工会議所は4月以降に賃上げを予定する企業が61.3%に上り、うち36.3%は「3%以上」の賃上を計画しているとの調査結果(全国中小約6,000社から49.7%の回答率)を発表した。
深刻な人手不足を背景に、中小でも高い賃上げ意欲が広がっている状況が明らかになった。
賃上げ実施予定企業の割合は、前年同期より3.1ポイント増えた。
業績改善がない中で賃上げを実施するとの回答は60.3%で、前年同期より1.9ポイント減少した。
減少傾向が続いていることから、日商では価格転嫁による業績改善が少しずつ進んでいるとみている。
賃上げ率の見通しについては、「5%以上」との回答が10%で、「4%以上5%未満」が9.3%、「3%以上4%未満」が17.3%と続いた。
賃上げ方法(複数回答)は、定期昇給が前年同期比5.7ポイント減の70.4%だった一方、基本給を底上げするベ-スアップは8.3ポイント増の49.1%で全体的な底上げを目指す動きが出ている。
賃上げ実施について「未定」と回答した企業は34.7%だった。
以上
第320話「中小61%賃上げ予定」
日本商工会議所は4月以降に賃上げを予定する企業が61.3%に上り、うち36.3%は「3%以上」の賃上を計画しているとの調査結果(全国中小約6,000社から49.7%の回答率)を発表した。
深刻な人手不足を背景に、中小でも高い賃上げ意欲が広がっている状況が明らかになった。
賃上げ実施予定企業の割合は、前年同期より3.1ポイント増えた。
業績改善がない中で賃上げを実施するとの回答は60.3%で、前年同期より1.9ポイント減少した。
減少傾向が続いていることから、日商では価格転嫁による業績改善が少しずつ進んでいるとみている。
賃上げ率の見通しについては、「5%以上」との回答が10%で、「4%以上5%未満」が9.3%、「3%以上4%未満」が17.3%と続いた。
賃上げ方法(複数回答)は、定期昇給が前年同期比5.7ポイント減の70.4%だった一方、基本給を底上げするベ-スアップは8.3ポイント増の49.1%で全体的な底上げを目指す動きが出ている。
賃上げ実施について「未定」と回答した企業は34.7%だった。
以上
MVP級のテーマ設定求める――湖池屋
㈱湖池屋(東京都板橋区、佐藤章代表取締役社長)は、目標管理とは別建てで「チャレンジ評価」を運用し、“社内MVPの獲得事例”を参考とした難題の設定を促している。
役割の高さに応じてより大きな挑戦を求めるもので、評価全体に占めるウエートはライン長で最大7割、生産現場のリーダークラスでは4割などと定めている。
一方、非管理職には過去2年分の評価結果で昇降給を実施し、成長度を着実に処遇へ反映している。
連続して最高評価のSを取った人材には、最大数万円の“特別加算”を行っている。
MVP級のテーマ設定求める――湖池屋
㈱湖池屋(東京都板橋区、佐藤章代表取締役社長)は、目標管理とは別建てで「チャレンジ評価」を運用し、“社内MVPの獲得事例”を参考とした難題の設定を促している。
役割の高さに応じてより大きな挑戦を求めるもので、評価全体に占めるウエートはライン長で最大7割、生産現場のリーダークラスでは4割などと定めている。
一方、非管理職には過去2年分の評価結果で昇降給を実施し、成長度を着実に処遇へ反映している。
連続して最高評価のSを取った人材には、最大数万円の“特別加算”を行っている。
再雇用制度 役割難易度で定額支給へ――九電工
㈱九電工(福岡県福岡市、石橋和幸代表取締役社長執行役員)は来年1月、役割に基づいて処遇する定年後再雇用制度を導入し、雇用継続の上限を70歳まで引き上げる。
施工管理や教育指導など5つの職務グループを設けたうえで、個々の職務の難易度を8段階で格付けし、ランク別定額の基本給を支給するもの。
現行制度に比べて年間報酬の下限額を約2割底上げし、上限額は2倍近くまで高める。
施工管理の担い手には工期に応じてランクを変動させ、工事責任者などを務める際は役職手当も加算する。
再雇用制度 役割難易度で定額支給へ――九電工
㈱九電工(福岡県福岡市、石橋和幸代表取締役社長執行役員)は来年1月、役割に基づいて処遇する定年後再雇用制度を導入し、雇用継続の上限を70歳まで引き上げる。
施工管理や教育指導など5つの職務グループを設けたうえで、個々の職務の難易度を8段階で格付けし、ランク別定額の基本給を支給するもの。
現行制度に比べて年間報酬の下限額を約2割底上げし、上限額は2倍近くまで高める。
施工管理の担い手には工期に応じてランクを変動させ、工事責任者などを務める際は役職手当も加算する。
「中堅企業」への支援強化――経産省
経済産業省は、中小企業を除く従業員規模2000人以下の企業を「中堅企業」と新たに位置付け、賃金引上げや設備投資などに対する支援を強化する。
令和6年度からは「賃上げ促進税制」に中堅企業枠を創設し、全雇用者の給与支給額を前年度から4%以上引き上げた場合、増加額の25%を法人税から控除する。
教育訓練費の引上げや女性活躍支援などに対する上乗せと合わせれば、最大で35%の控除を受けられる。
とくに賃金水準が高い中堅企業については「特定中堅企業」と定義し、機械装置などへの設備投資を行う場合、法人税の6%を控除する。