都内の大卒求人初任給 専門・技術職は21.7万円――東京労働局 学卒者の初任賃金

東京労働局の「学卒者の初任賃金」調査によると、今春に入社する大卒の職業別求人初任給(中位数)は専門・技術職が21.7万円、事務職が21.0万円、販売職が21.5万円だった。
それぞれ前年から1.4%増、0.7%増、2.4%増と伸びている。
職業計の金額階級別分布状況では、23万円以上が全体の25.4%を占め、20万円台と21万円台が19.1%で続いている。
高卒については、専門・技術職が18.6万円、販売職が18.3万円、技能職が18.2万円などとなっており、おおむね1.5%程度増加している。
20万円以上の求人が全体の3割を占めていた。

トラック運転者 残業代の明確区分性否定――最高裁

トラック運転者の残業代の適法性が争われた裁判で、最高裁判所第二小法廷(草野耕一裁判長)は1000万円超の請求を棄却した二審判決を破棄し、審理を福岡高等裁判所に差し戻した。
通常の労働時間の賃金と残業代の明確区分性を欠くと判断している。
会社は残業代として、基本給と残業時間から算出する「時間外手当」と、時間外手当額に応じて増減する「調整手当」を支給。
結果的に残業の多寡によって賃金総額が変わらない仕組みを採用していた。
最高裁は適法な残業代かどうかは、時間外手当と調整手当が全体として残業の対価といえるかを検討するべきと指摘。
制度改定の経緯を踏まえ、調整手当には旧賃金制度下で通常の労働時間の賃金だった歩合給が相当程度含まれていると評価している。

同一賃金徹底へ強化期間――厚生労働省

厚生労働省は、非正規労働者の賃金引上げを推進するため、3月15日~5月31日を「同一労働同一賃金の取組み強化期間」に設定した。
春季交渉での賃金引上げの流れを非正規労働者にも波及させるのが狙いだ。
経済団体に対し、賃上げに取り組む際に同一労働同一賃金の観点を踏まえた対応を求める協力要請文書を発出した。
パート・有期雇用労働法の履行確保に向けた取組みも強化する。
同法に基づく報告徴収を行う前に、労働基準監督署が非正規労働者の処遇を確認する取組みを全国で開始。
労基署の調査結果を踏まえ、4月から都道府県労働局が報告徴収を実施していく。

小規模・男性でピーク609万円――国税庁 民間給与実態統計調査(令和3年細部集計)

国税庁の民間給与実態(令和3年分)によると、従業員30~99人の小規模事業所に勤務する男性の年間平均給与のピークは55~59歳608.5万円だった。
小規模と比べて、中堅規模の500~999人は1.22倍の740.3万円、大規模の5000人では1.47倍の895.1万円などとなっている。
賃金カーブについても規模間格差は顕著にみられ、20~24歳を100とした場合のピーク時の指数は、小規模が216、中規模が240、大規模が365だった。
正社員における年収800万円超の割合は、男性の15.4%に対して女性は3.2%に留まっている。

一貫処遇で65歳定年制へ――住友化学

住友化学㈱(東京都中央区、岩田圭一代表取締役社長 社長執行役員)は、来年4月から段階的に65歳定年制へ移行するため、労使で最終的な協議中であることを明らかにした。
処遇面については、60歳到達後も既存の職務・役割に基づく人事制度を一貫して適用する意向だ。
組合員層の場合、現在は定年後に再雇用されると年収が定年前の40~50%程度に低減しているが、労組には60歳以降90~95%程度になる移行後のモデルを示し、協議を進めている。

育休中の社保料免除 14日以上取得で要件統一を――全国社労士会

全国社会保険労務士会連合会(大野実会長)は、会員社労士から働き方改革を阻害している法制度や法規制に対する意見を吸い上げ、改善点を6分野17項目に集約した政策提言を発表した。
育児・介護と仕事の両立支援分野では、育児休業中の社会保険料の免除要件を「14日以上取得した場合」に統一すべきとしたほか、介護休業にも免除規定を適用するよう求めている。
多様な働き方を推進する側面からは、割増賃金算定時に副業・兼業の労働時間を通算する仕組みの撤廃を提言した。

第288話「入社後のミスマッチを防ぐには」

日本経済新聞社の調査(製造業371社、非製造業547社から回答)によると、入社後のミスマッチを防ぐ対応策として9割近くが「インタ-ンシップに取り組む」一方、入社後に直面する「配属先の確約」や「転勤や単身赴任を強いる人事制度の廃止」を挙げた企業は1割以下だった。

インタ-ンシップの他に多かったのは「自社ウエブサイトの充実」(71.4%)や「女性管理職の増加」「ワ-クライフバランス・健康優良企業認証取得」(ともに41.4%)で、「初任給の上げ引上げ」も3割を超えた。

働き方の自由度を挙げる取り組みも広がりつつあり、「フルリモ-ト、テレワ-ク推進」や「働く場所を限定した職種の設置」を挙げた企業も2割を超えた。

新型コロナウイルス禍の長期化による採用活動の課題については、「対面の採用説明会」(65.3%)や「内定者とのフォロ-イベント」(60%)など、直接学生や内定者と触れ合う機会が設けにくかったという意見が多かった。

以上

現金給与総額 2.0%増加し32.6万円――厚労省 毎月勤労統計(4年平均確報)

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和4年平均(確報)の月間現金給与総額は32.6万円だった。
前年結果から2.0%増加し、2年連続で前年を上回っている。
一方で物価変動を加味した実質賃金指数は1.0%落ち込んだ。
一般労働者の所定内給与は1.3%増の31.9万円、所定外給与は5.1%増の2.6万円などとなっている。
パートタイム労働者の時間給は1242円で、19円増加した。

ベア要求 中小6割超が9千円以上――JAM

中小規模の機械・金属産業の労組が8割を占めるJAМ(安河内賢弘会長)は、2月27日現在で賃金改善分の要求額が8729円になったと明らかにした。
300人未満の中小に限っても8759円と同水準にあり、うち6割超が要求方針の9000円以上を要求している。
賃金構造維持分を含む平均賃上げ額は、1万2762円だった。
JAMでは消費増税後の2015年にもベア9000円の方針を掲げているが、いずれの数字も当時の同時期を大幅に上回り、過去最高の水準となっている。

福利厚生策 3手当含めて合計20種以上――X Mile

人材ビジネス系ベンチャーの㈱X Mile(=クロスマイル、野呂寛之代表取締役)は、将来的な上場を見据えて人事制度の見直しを進めており、福利厚生施策としては20種類以上の制度を設けている。
手当面では、子供1人当たり月額1万円を支給するほか、オフィスから3キロメートル以内に住む人材に2万円の住宅手当を支払う。
来年度には賞与制度を採り入れる予定で、年俸の一部を切り出して原資に充てる。
そのために来年1年間でベースアップを図り、年収額の大幅な引上げをめざしている。
業績評価に関しては、昨年から達成度70%を標準評価とする仕組みを採用し、一人ひとりに高い目標の設定を求め、挑戦を促す。

リーダー登用で月給3割増も――古河電工

古河電気工業㈱(東京都千代田区、小林敬一代表取締役社長)は一昨年12月に組合員層の人事制度を改定し、交替勤務の製造現場などでチームを率いるリーダー向けの区分「監督職」を新たに設けた。
基本給を一本化するのに併せて水準を大きく引き上げるとともに、役職手当の支給額を最大3万円に高めた。
低位の資格等級から初任クラスのリーダーに任用された場合、月例給は2~3割アップする。
次代の候補者も不足するなか、処遇向上により若年層のチャレンジを促す。

就業継続支援策 仕事免除より早期復帰を――物流連

物流事業者81社と14の業界団体で組織する日本物流団体連合会(物流連、池田潤一郎会長)は、女性活躍推進に関する調査検討報告書をまとめた。
30歳前後で離職率が高まる傾向を踏まえ、就業継続の支援策としては育児休業や時短勤務などの仕事を免除する制度ではなく、働く時間・場所を柔軟にして早期復職、早期フルタイム化を図るべきと指摘した。
併せて海外研修に3年前倒しで参加させるなどの取組みを紹介し、育児などのライフイベント前に多くの経験を積む機会を付与すれば、成長意欲の高い人材を増やすことにもつながるとしている。

専門家無料派遣でサポート――神奈川産保センター

神奈川産業保健総合支援センター(渡辺哲所長)は、令和5年度から、運転者の健康起因事故防止をめざす企業に、保健師や管理栄養士などの専門家を無料で派遣するサービスを開始する。
労働者の定期健康診断での異常所見を放置することが、脳梗塞や心筋梗塞の発症につながり、重大な交通事故や労働災害の発生要因になるとみて、企業における健康教育を支援する。
労働者に再検査を促す方法や、コンビニ食が多くなりがちなドライバーの食事の選び方、健診の結果を取り扱う際の規定作成支援などを行う。
神奈川県警と連携し、広報活動も強めていく。

第287話「内定受諾の決め手」

リクル-トマネジメントソリュ-ションズが実施した2023年春卒業予定の大学・大学院生に対する意識調査によると、内定受諾の決め手として「自分のやりたい仕事(職種)ができる」を選んだ学生が15.6%と最も多かった。
「社員や社風が魅力的である」(12.3%)を同様の質問を始めた2013年卒以来、初めて上回った。
同社はオンラインでの会社説明会や面接が増えたことで、社員や社風が伝わりづらくなったことが背景にあると分析している。
また、「希望の勤務地に就ける可能性が高い」(11.6%)を選んだ学生が3番目に多く、自分の意思が尊重されることを重視する傾向があることもうかがえた。
自己理解や社会人としての自覚の有無についての調べでは、自分の興味や得意分野・弱みを理解している人は6割前後にのぼった一方、社会人の働き方への理解や社会に出る覚悟などは半数を下回った。
社会人と対話した経験がある学生の方が、自己理解が進んでいることも分かった。
同社は、「企業側も採用活動を通じて学生の自己理解や社会人としての自覚を促すような働きかけが重要で、学生へのフィ-ドバックも有用」と分析している。

以上