テレワーク実態調査 6割が自己申告方式活用――品川労基署

東京・品川労働基準監督署(尾城雄二署長)は、テレワークにおける労働時間管理や長時間労働の対策状況を把握するため、情報通信業を中心に管内約150事業所の実態を調査した。労働者からの自己申告方式によって労働時間を把握している事業所が約6割と多数を占めている。同方式を併用する形も含め、勤怠システムなどを用いて客観的な方法で管理している事業所は5割強に留まった。長時間労働対策として、深夜・休日にシステムへのアクセス自体を制限している企業は1事業所のみだった。

マタハラ 慰謝料30万円支払いを命じる――東京高裁

社会福祉法人緑友会で保育士として働いていた労働者が、育児休業からの復帰直前での解雇を不服とした裁判で、東京高等裁判所(後藤博裁判長)は解雇を無効とした一審判決を維持した。一審に引き続き、バックペイなどに加え、慰謝料30万円の支払いを命じている。男女雇用機会均等法が禁止する出産1年以内の解雇に当たるなど、労働者の精神的苦痛は大きかったと判断し、慰謝料請求を認容した。同法人は解雇日がたまたま産後1年以内だったと主張したが、同高裁は「出産を理由とした解雇でないとの証明がない」と退けている。

変容する長期雇用 人材投資「限定化」を懸念――厚労省が第11次能開基本計画案

長期雇用システムの変容と非正規労働者の増加に対応した人材育成システムの形成を 厚生労働省は、令和3年度から5年間を適用対象とする第11次職業能力開発基本計画案をまとめた。企業の人材開発投資が今後「限定的」になっていくことが懸念されるとし、国は訓練経費などを助成することによって、企業内・業界内の職業訓練を積極化させる必要があるとしている。実践的な職業能力の開発に向け、企業による計画的なOJT、Off-JTの機会確保が依然として重要と訴えた。

手当不支給 不当労働行為と認める――東京地裁

障害者の就労継続支援B型事業所を運営するNPO法人せたがや白梅が、東京都労働委員会による救済命令取消しを求めた裁判で、東京地方裁判所(春名茂裁判長)は都労委の命令を維持し、組合員への役職手当不支給などは不当労働行為に当たると判断した。同法人では主任に月5000円の役職手当を支給していたが、平成29年4月、組合員である労働者への支給を停止。同法人は降職によるものと主張したが、同地裁は「不利益取扱いが人事権行使として適法だとしても、組合活動を嫌悪して行われた場合は不当労働行為が成立し得る」と退けている。

自動車運送事業 健康起因事故に行政処分――国交省

国土交通省は、トラック、バスなどの自動車運送事業において運転者の脳・心臓疾患などが原因で運転を継続できなくなる事案が増加しているため、運送事業者に対する行政処分の基準を改正する。運転者に健康診断を受診させず、健康状態の適切な把握を行わないまま重大事故を引き起こしたケースを新たに対象に加え、初違反で40日車、再違反で80日車の車両使用停止処分とする。今年3月中に通達を発出し、4月1日に施行する方針。

JAM 中小のベア要求4千円超に 全体平均200円上回る・UAゼンセン パート時給は37円に

コロナ禍で迎える2年目の春季労使交渉で、格差是正をめざす中小企業単組の要求が大手を上回る傾向が明らかになってきた。機械・金属の産業別労働組合JAMの集計では、ベアに相当する改善要求額が300人未満で平均4354円となり、全体計の4140円を約200円上回っている。小売・外食などを含むUAゼンセンでは、ベアを含む引上げ率が300人未満で3・25%となり、300人以上の3・17%を超えた。パートタイマーの引上げ率は3・70%(時給ベースで37・1円)で、正社員を0・53ポイント上回っている。

エンゲ-ジメント

2021年版「経団連中労委報告」の中で、「働き手一人ひとりのエンゲ-ジメントを向上させ、労働生産性を高めていく働き方改革フェ-ズⅡを推進していくことが大切である。」という中西会長の序文がありました。
今回はその「エンゲ-ジメント」を2つの側面から定義したコメントを紹介します。

① 従業員エンゲ-ジメント
アメリカ最大の調査・コンサルティング会社ギャラップ社が全世界のビジネスパ-ソンを調査し、組織に対する信頼感や愛着等(従業員エンゲ-ジメント)を測る「12の質問(下記参照)」を導き出し、公表したことで広く知られるようになりました。
従業員エンゲ-ジメントの高い職場は業績も高いと分析されています。

② ワ-ク・エンゲ-ジメント
心理学や産業保健心理学分野で提唱されるようになった新しい考え方。
ワ-クエンゲ-ジメントが高い人とは、「仕事に誇りややりがいを感じている(熱意)」「仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)「仕事から活力を得ていきいきしている(活力)」の3つが揃った状態の人で、心身ともに健康で、仕事や組織に積極的に関わり、バフォ-マンスを有しているとされています。

従業員エンゲ-ジメントを測る12の質問は下記の通りです。
従業員の定着率に影響を与える質問には〇、特に業績に影響を与える質問には□が付してあります。

Q1: 〇□ 職場で自分が期待されているのを知っている
Q2: 〇□ 仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3: 〇□ 職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4: 〇□ 上司または職場の誰かが、自分を一人の人間として気にかけてくれているようだ
Q5:  □ この7日間のうちに、よい仕事したと認められたり、褒められたりした
Q6:  □ 職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7: 〇   職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8:     会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9:     職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:   職場に親友がいる
Q11:   この6ケ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:   この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

以上

2年間で11件労災かくし――関労基署

岐阜・関労働基準監督署(米山宏治署長)は、2年間で11件の労働災害を起こし、いずれも報告しなかった菓子製造業のタンドール製菓㈱(岐阜県美濃加茂市、391人)と同社専務取締役を、労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで岐阜地検に書類送検した。立件対象としたのはそのうち2件の労災で、休業が100日を超えたケースもあり、悪質と判断して送致に至っている。すべての労働者死傷病報告が未提出のまま、労災保険の手続きをしたことで違反が発覚した。

「労務管理責任者」選任へ――国交省・法案提出

国土交通省は、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案を国会に提出した。船員の働き方改革に向けて、船員を使用する船舶所有者に対して「労務管理責任者」の設置を新たに義務付ける。選任された同管理者は、船員の労働時間や休息時間、休日などに関する記録簿を作成するほか、労働実態を踏まえ、使用者に対して労働時間の短縮や有給休暇の付与などの措置を提言する。

求職者支援制度 給付金支給要件を緩和――厚労省

厚生労働省は、シフト勤務が減少したり、休業を余儀なくされた大企業の非正規労働者などを対象に、今後のステップアップを支援する新たな雇用・訓練パッケージを明らかにした。求職者支援制度における職業訓練受講給付金の月収要件を現行月8万円から12万円に引き上げるほか、訓練期間や内容の多様化・柔軟化を図る意向である。ハローワークには「コロナ対応ステップアップ相談窓口」(仮称)を設置し、ワンストップで就職支援などを行うとした。