違法残業で相次ぎ運輸業送検――厚木労基署

神奈川・厚木労働基準監督署(湯川和彦署長)は、違法な長時間労働を繰り返していた運輸業2社を相次いで司法処分した。36協定を超えて時間外・休日労働を行わせたとしてトラック運送業のダイワ運輸㈱(兵庫県神戸市)と当時の厚木営業所長代理を、別件で路線バス事業の神奈川中央交通東㈱(神奈川県平塚市)と同社大和営業所長をそれぞれ労働基準法第32条(労働時間)違反などの疑いで横浜地検に書類送検している。いずれも時間外・休日労働が最長で月120時間に上っており、複数回にわたって是正指導したにもかかわらず、人手不足から改善を怠っていた。

労働審判 口外禁止条項は違法――長崎地裁

雇止めに関する労働審判で、審判内容の口外を禁止され精神的苦痛を受けたとして、バス運転士を務めていた労働者が150万円の国家賠償を求めた裁判で、長崎地方裁判所(古川大吾裁判長)は口外禁止条項を違法と判断した。労働者は口外禁止を明確に拒否しており、将来に渡り義務を負い続けることは「過大な負担」と指摘。審判は経過を踏まえたものといえず、相当性を欠くとした。口外禁止条項を違法と判断する判決は初めてとみられ、他の審判に影響を与える可能性がある。

労働者協同組合法 労働法規を「完全適用」――議員立法

労働者が出資し自ら事業を運営する新たな労働ルールを定めた「労働者協同組合法」が、臨時国会で成立した。出資した組合員が協同組合の行う事業に従事するもので、役員以外は、労働基準法や最低賃金法などの労働法規が完全適用となる。協同組合は営利を目的として事業を行ってはならず、剰余金は、組合員が協同組合の事業に従事した程度に応じて配当するとした。法案成立まで20年以上にわたって議論・検討が続けられてきた。

労働者4人が一酸化炭素中毒――中央労基署

東京・中央労働基準監督署(工藤滝光署長)は、自然換気が不十分な室内で内燃機関を有するエンジンカッターを使用したとして、解体工事業の㈱小見解体(千葉県松戸市)と同社現場代理人を労働安全衛生法第22条(事業者の講ずべき措置等)違反などの疑いで東京地検に書類送検した。労働者4人が一酸化炭素中毒を発症し、うち1人は脳機能に障害が残っている。4人はそれぞれ別会社からの請負として作業に従事していたが、指揮監督はすべて同社現場代理人が行っていたため派遣労働者であったと判断し、派遣先である同社のみを送検している。

秘密管理性欠くと棄却――東京地裁

まつげエクステンションの専門店を運営する㈱リリーラッシュが、元従業員の顧客情報持出しは違法などと訴えた裁判で、東京地方裁判所(柴田義明裁判長)は同社の請求を棄却した。元従業員は退職後、別の会社が運営するサロンで働き始め、施術記録などを記した2人分の顧客カルテを同社の現役従業員から受け取った。同社は顧客カルテが不正競争防止法上の「営業秘密」に該当するとして、損害賠償と利用の差止めを求めたが、同地裁は秘密管理性を欠くと指摘。営業秘密に当たらないと判断している。

医師面接 「原則対面」を削除――厚労省

厚生労働省は、通達を改正し、長時間労働を行った労働者に対するオンラインによる医師面接指導の要領を一部簡素化した。新型コロナ感染症の拡大で、オンラインによる面接指導が推奨されるため、実施基準から「原則として対面によって行うことが望ましい」などとする規定を削除した。労働安全衛生法に基づく特別教育もオンラインによる実施を促進するため、受講者を1カ所に集合させて監視する必要のないことやテレワークにより自宅などで受講することも可能とした。

「企業の5割が副業容認」

就活情報大手のマイナビが中途採用を実施している企業の人事担当者を対象に行った1,901件の全国調査結果を発表した。 回答企業の49.6%が副業・兼業を認めていた。

新型コロナウイルスによる業績悪化の影響で、社員の収入を考慮して副業を容認する傾向があり、導入の理由(複数回答)でも「収入を補填するため」が43.4%と最も多かった。
次いで「モチベ-ションを上げるため」が37.5%、「スキルアップしてもらうため」が33.8%あった。

一方、副業を認めていない企業の理由として「労働時間が過剰になり本業に影響が出る可能性がある」が53.3%、「転職してしまう可能性がある」が35.7%あった。

導入している企業を業種別にみると、医療・福祉・介護が57.2%で最も多く、僅差でサービス・レジャ-が56.2%、IT・通信・インタ-ネットが55.6%と続いた。
最も低かったのは、マスコミ・広告・デザインで29.8%だった。

マイナビでは、医療・福祉・介護業界で副業を認めるケ-スが多いのは「業界として収入が低い一方、介護などの技術は汎用性がある」点を指摘した。
今回の調査では、上場企業の57.1%が副業を認めているのに対して、非上場では46.7%と約10ポイントの差が出たが、「管理体制が整っている上場企業の方が、社内のイノベ-ション創出のために副業・兼業に積極的なのではないか」と分析している。

以上

介護職員・基本給 3000円増で18.2万円に――厚労省・令和2年 介護従事者処遇等調査

厚生労働省の「介護従事者処遇等調査」によると、処遇改善加算を取得した事業所における介護職員の平均基本給は18.2万円だった。1年前17.9万円と比較すると3000円アップしている。手当・賞与を含んだ平均給与額は31.5万円だった。職種別の平均給与額は、社会福祉士35.3万円、介護福祉士32.9万円などに。「特定処遇改善加算」を取得していた事業所は63.3%に留まっている。

違法派遣2年分を刑事告発――香川労働局

香川労働局(本間之輝局長)は、許可を得ないまま約2年間、労働者派遣事業を行ったうえ、禁止されている建設業務への派遣を実施したとして、建設業の㈱匠(香川県丸亀市)と同社代表取締役を労働者派遣法第4条(禁止業務への労働者派遣)違反などの疑いで香川県丸亀警察署に刑事告発した。無許可派遣と禁止業務派遣は合わせて4千人日に上っている。8年前にも同様の違反で同労働局が行政処分をしていたが、処分後も許可を取らないまま偽装請負を続けていた。

労組幹部への賠償請求棄却――東京地裁

飲食店を営む会社の元執行役員が、団体交渉時に威迫行為などを受けたとして、首都圏青年ユニオンの幹部2人を訴えた裁判で、東京地方裁判所(佐久間健吉裁判長)は損害賠償請求を全面棄却した。会社と同労組は学生アルバイトの退職をめぐる労使紛争で、29年3月に和解。元執行役員は和解成立後の同年12月に訴訟を提起し、団交時に大人数に囲まれ恫喝を受けたと主張したが、同地裁は証拠がないと判断した。元執行役員は特定社会保険労務士の資格者で、独立開業している。