住友林業㈱(東京都千代田区、市川晃社長)は、4月から65歳を上限とした選択型定年制度を導入する。60歳に達して以降は、正社員として働き続けるか、勤務地や勤務形態の融通が利く再雇用に転換するかを毎年、選択できる。正社員を続ける場合は原則60歳で役職定年となり、給与水準は初年度で直前の7割、以降は毎年5%ずつ抑制していく。併せて65歳を超えて技術系専門人材を雇用してきた「シニア人材バンクセンター制度」を拡充し、70歳までだった上限年齢を撤廃する。
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団体交渉 使用者側の開催条件は不当――東京地裁
東京地裁(春名茂裁判長)は、㈱アート警備(埼玉県川口市)が中央労働委員会による不当労働行為の救済命令の取消しを求めた裁判で、同社の請求を棄却した。同社は夏季休暇や賞与に関する団交について、交渉内容を第三者に漏らさない、録音撮影を禁止するなどの開催条件への同意を求めたが、組合が拒否し、団交は開催されなかった。同地裁は開催条件に必要性・相当性はなく、団交拒否に当たるとして、中労委の団交応諾命令を維持した。同社は判決を不服として控訴している。
時間外上限規制 中小適用前に説明会500回――厚労省
厚生労働省は、今年4月から時間外労働上限規制の中小・小規模企業への適用および大企業への「同一労働同一賃金」の適用が開始されるため、経済産業省と連携して「働き方改革対応合同チーム」を新設した。労働局の働き方改革推進支援センターと経産局のよろず支援拠点が収集した各地の中小企業・小規模事業者の「働き方改革」に対する意見などを踏まえ、改正法施行に万全を期す構えである。時間外労働上限規制については、年度末までに全国で合計500回程度の説明会を開くなどとした。
同業のプロジェクト参加OK――DeNA
㈱ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区、守安功代表取締役社長兼CEO、連結2437人)では、社内で副業が広がっている。その数、3年弱で累計400件に上った。独自規定の「三原則」に反しない限り広く承認し、場合によっては同業のゲーム会社のプロジェクトへの参加も認める。外部で得た知識を本業に活用してもらいたい考えだ。承認した社員に対しては3カ月に一度、疲労度などのチェックを行って働きすぎ防止に注意を払う。社内での副業、人事異動に関する公募制度なども整え、社員が熱意をもって働ける環境づくりを進めている。
最賃引上支援助成 上限450万円に増額――厚労省
厚生労働省は、令和元年度補正予算により最低賃金の引上げを支援する「業務改善助成金」を大幅に拡充した。従来、事業場内最低賃金を30円以上引き上げた事業場に支給対象を限定していたが、「25円以上」「60円以上」「90円以上」の3コースを新設したうえ、支給額の上限を450万円(従来100万円)まで増額した。地域別最賃を毎年3%程度ずつ引き上げたことに対応するとともに、早期に全国平均1000円を達成する狙い。
情報サービス産業 大卒35歳モデル32.3万円に
情報労連の「ITエンジニアの労働実態調査」によると、大卒のモデル所定内賃金は22歳21.1万円、35歳32.3万円、45歳40.3万円、ピークの55歳42.8万円などとなった。35歳で初任時の1.53倍まで高まり、ピークでは2.03倍に至るカーブを描いている。各社に該当者の最低額、最高額を聞いて集計している職種別の賃金レンジは、システムエンジニアが25.8万~41.2万円、プロジェクトリーダーおよびシステム運用管理者は36.0万~50.2万円となっている。
WLB推進 育休後の女性復職率100%――あいのわ福祉会
障害者支援事業や介護事業を行う社会福祉法人あいのわ福祉会(東京都足立区、橋本弘理事長、306人)は、職員の多数を女性が占めることなどを理由に、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する人事施策を数多く展開している。休暇制度は子供の看護休暇や時間単位年次有給休暇をはじめ、冠婚葬祭用の特別休暇や勤続年数に応じたリフレッシュ休暇を用意する。育児休業を取得した女性の復職率は、4年連続で100%を記録中。加齢に伴う体力の衰えに配慮した夜勤や残業のない職場への配置転換や、ラッシュを避けた通勤を可能とする時差出勤なども制度化した。
人材戦略のあり方提示へ――経産省
経済産業省は、大企業の人事担当役員などによる研究会を設置し、企業価値の向上につながる人材戦略のあり方と経営陣などの役割の明確化に向けた検討を開始した。企業に対して経営環境の変化に応じた人材戦略の構築を促し、中長期的に企業価値の引上げを図るのが狙い。経営戦略と人材戦略を密接に関連付けるための体制のほか、「デジタル人材」の確保や多様な人材への対応といった各社に共通する課題について明らかにする。
総合職・大卒35歳38.6万円に――経団連・モデル賃金調査
経団連と東京経協が実施した「2019年6月度定期賃金調査」によると、総合職・大卒35歳のモデル賃金は38.6万円で、前年結果に比べて0.4%増加した。全年齢ポイントで2年連続プラスとなったが、伸び率は0.4~1.2%増と大きくない。ピークの55歳は62.0万円となり、初任時22歳に比べて2.81倍の水準だった。実在者の役職者賃金では、部長が1.2%増の70.6万円、課長が0.6%増の53.9万円と伸びた一方で、係長が0.2%減の40.7万円と落ち込んでいる。
三六協定と残業義務 就業規則等の裏付けで業務命令
今年4月から、中小企業にも時間外労働の上限規制(原則として月45時間、年360時間)が適用される。働き方改革に取り組む連合は3月6日を「36(三六)協定の日」として記念日の登録を果たした。改正労基法の施行に向けて、盛り上がりは確かなようだ。
“追い出し部屋”での考課無効――東京高裁
㈱フジクラで働く労働者が、いわゆる「追い出し部屋」での人事考課に基づく賃金減額などを不服とした裁判で、東京高等裁判所(都築政則裁判長)は、退職勧奨に応じなかったことを理由に評価を低くした疑いがあるとして、減額を無効とした1審判決を維持した。業務の履行態度を問題とした解雇についても無効と判断し、減額分の賃金計126万円とバックペイの支払いを命じている。同社は出向先を探す業務命令に従わなかったため、評価を下げたと主張したが認められなかった。
自動車運転者の改善基準 拘束時間、休息期間を改定へ
厚生労働省は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)の見直し検討を開始した。自動車運転業務の時間外上限規制は、平成30年に成立した働き方改革関連法施行5年後に「年960時間」を適用することになっている。このため、ハイヤー・タクシー、トラック、バスの運転者に適用している「改善基準告示」の拘束時間、休息期間、連続運転時間などの規制時間を見直す考え。健康確保、過労死防止、労働時間短縮をめざすとした。