生産ライン職・月7時間30分の特別休暇・2回に分割して取得――ライオン㈱

ライオン㈱(掬川正純代表取締役社長)は来年9月、シフト勤務で働く生産ライン職を対象に、1カ月最長7時間30分の特別有給休暇を付与する「生産職お助け休暇制度」を導入する。 フレックス勤務ができない働き方の社員に対し、育児や介護といった個人の事情に対応する時間を確保しやすくする狙い。利用は30分単位で月2回までに限定する。生産職以外の社員では、コアタイムのないフレックスタイム制度を開始する。

既存ルールの弾力化進む――2019年掲載事例を振り返る

働き方改革と人手不足解消の両立が求められるなか、2019年は既存の枠組みを弾力化する制度改定がめだった。シニアの活用に向けて65歳定年や再雇用者の処遇改善を進める企業が増える一方、女性の成長機会を拡大するために勤務地限定の働き方を工夫する動きも起きている。グローバル展開を支える基盤づくりとして、従来以上に欧米型の制度と取り込む企業もみられた。

子育て両立支援策・減少賃金の50%を補填・育児短時間中に手当――コーソル

データベース技術を核としたサービス事業を展開する㈱コーソル(東京都千代田区、金山俊明代表取締役、133人)は、育児により制限された勤務時間分の賃金の50%を補填する「育児支援手当」などを導入し、社員の育児と仕事の両立を支援している。 時短勤務は法定を大幅に上回り、子供が小学校卒業まで認める。社内報などで制度を利用した男性社員が体験談を披露するといった風土づくりも推進中。今年度、厚生労働省主催「イクメン企業アワード(両立支援部門)2019」でグランプリを受賞した。

高齢者の安全・健康/集中要する作業に制限を・対策実施へ調査審議――厚労省

厚生労働省は、70歳までの就労促進に向け、高齢者が働きやすい職場環境実現のためのガイドライン案を作成した。身体機能低下による労働災害発生リスクについて、 災害事例やヒヤリハットから洗い出し、優先順位の高いものから対策を講じるリスクアセスメントを実施すべきとしている。具体的には、通路の段差の解消、注意力・集中力を必要とする作業時間の限定などを示した。多様な高齢者が健康で安心して働くことができるよう、国民的な気運醸成を図る方針である。

事務課長のピーク60万円弱・新人層に比べ2.7倍――人事院/民間給与の実態(確報)

人事院の平成31年職種別民間給与実態調査によると、課長クラスの所定内給与のピークは、事務系で52~56歳未満59.6万円、技術系では56歳以上60.8万円だった。大学新卒者を含む係員20~24歳の水準と比較すると、それぞれ2.72倍、2.82倍となっている。一方、今年度にベースアップを実施した事業所における配分状況は、一律定率19.3%、一律定額39.9%となり、一律以外40.8%が最も多かった。具体的にどの世代に重点を置いたかを尋ねた設問では、20歳代以下とする事業所が3割を超えるなど、若手に傾斜した配分傾向が明らかになっている。

行動指針適う活動称え合う・社員間で投票を実施――RELATIONS/組織づくり 

RELATIONS㈱(東京都港区、長谷川博章代表取締役、48人)は業績拡大に伴い、積極的に社員を採用し、組織づくりに力を注いでいる。 「従業員からも顧客からも信頼される会社」づくりが目標だ。その1つが、会社の行動指針に適う活動をした社員に票を投じる「バリュー投稿」。 会社が利用するビジネスチャット上で、互いに活動を称賛する。全員が参加するミーティング「TGIM」や1人の社員が1時間程で自らの人生について語る施策も実施。 毎月1万円を上限として、社員同士で食事をした際に補助を行う制度も導入している。

「中堅企業の経営幹部の女性比率」

英グラントソントン・インタ-ナショナル(国際会計事務所)が行った非上場企業を 中心とする中堅企業4933社を対象に、主に部長職以上の女性幹部割合の調査によ ると、世界全体の女性幹部の割合は平均29%で、前回調査の24%から5ポイント 上昇した。

1位・・・ニュージーランド 44%
2位・・・オ-ストラリア  42%
3位・・・ナイジェリア   38%
3位・・・ボツワナ     38%
5位・・・フィリピン    37%
5位・・・ベトナム     37%
7位・・・ドイツ        36%

が上位で、日本は前回より割合は高まり15%となったが、04年の調査開始から続く 最下位から抜け出せなかった。グロ-バル化や女性活躍推進法など政府の取組効果 が出始めていることが背景として考えられる。また、最近では経営者の娘が事業を 引き継ぐケ-スも増えており、特に比較的小規模を中心とした事業承継が全体割合 を押し上げている可能性もあるとしている。厚生労働省の17年の調査でも規模が大 きいほど女性管理職の割合が低くなる傾向が出ている。従業員が5000人以上の企業 の課長級以上の女性管理職比率は6.2%だったのに対し、10~29人は19.2%に達した。 政府は20年に女性管理職比率を30%までに高める目標を掲げているが、今回の調 査でも経営幹部に女性が一人もいない企業が52%を占めており、改善の余地が大き いことがわかる。 女性比率を高めるために実施している施策について複数回答で聞いたところ、 「柔軟な働き方を可能にする」「発展的な業務に触れる機会を平等に与える」 「採用方法の見直し」といった回答があったが「特に対策を取っていない」という 回答が45%と最も多く、世界全体の25%よりもかなり高く、施策が追いついていな いという実態も浮き彫りとなった。                                                                                                                    以上

「フレキシブル休職」を新設・視野広げる機会に――三洋化成工業

三洋化成工業㈱(京都府京都市、安藤孝夫代表取締役社長)は、「フレキシブル休職制度」を導入した。 ボランティアをはじめ、要介護状態ではない親族の介護、自己研鑽、副業――など多様な目的での利用を想定している。 在職中に1度、最長2年まで取得を認める。社外での経験は従業員の視野を広げ、新たな発想につながると判断した。業務引継ぎの観点などから、休業に入る1カ月前までの申請を求める。

改定額5,600円に――厚労省・賃金引上げ等実態調査

厚労省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、規模100人以上の企業における賃金改定額は、1人平均5,592円だった。前年結果と比べるとわずかに83円下回ったが、所定内賃金に対する改定率では3年連続2.0%となった。定期昇給制度を持つ企業におけるベア実施率は、管理職が24.8%、一般職は31.7%だった。現行の集計方式となった平成15年以来、一般職の実施率が初めて3割を超えている。

入社日時点で10日付与・半年ごとに3連休を――美芳会/年次有給休暇

働きやすい職場環境づくりに注力している社会福祉法人美芳会(静岡県富士市、大塚芳正理事長、150人)は、年次有給休暇を正職員に入社日時点で10日付与している。 非常勤職員も同様で、日数は契約日数に比例している。「3カ月で1日」「半年ごとに公休を含めて連続3日以上」といった独自の“ルール”を決めて確実な取得を促進中。 平成30年度の平均取得日数は12.2日で、3年前に比べて倍増した。近年はくるみん、えるぼし、ユースエールの認定により、求人に対する応募が増えている。