ダイバーシティ&インクルージョンの一環として、LGBTへの対応に取り組む企業が増えている。金融大手の野村ホールディングス㈱(東京都中央区、永井浩二代表執行役社長グループCEO、2万8280人)は、当事者へのサポートに加えて、社内でのアライ(支援者)活動に力を注ぐ。 アライは自席にステッカーを貼り支援意思を表明する。社会的な理解浸透の活動も積極的に行う。アパレル業の㈱レナウン(東京都江東区、北畑稔代表取締役、942人)では、採用活動における自己PR書では性別記入欄を設けていない。
月別アーカイブ: 2019年3月
全国型との給与格差5~10%――㈱ティップネスの地域限定正社員制
三大都市圏にフィットネスクラブを展開する㈱ティップネス(東京都港区、花房秀治社長)は、勤務範囲に応じて2種類の地域限定正社員区分を運用している。 ポストに基づく管理職層への昇格は制限されるが、非管理職として担える役割の範囲には、区分間で差を設けていない。店舗勤務の場合は、施設のトップである支配人の代理職までステップアップできる。 正社員全体に共通の評価制度を適用し、報酬面では同じ役割を担う全国転勤型に比べて90~95%の水準を確保している。
新卒が共同し新店舗運営――串カツ田中・育成方法見直す
㈱串カツ田中ホールディングス(東京都品川区、貫啓二代表取締役社長)は今年4月から、新入社員が共同して新店舗の立上げを繰返し行う育成制度を導入する。 同期と共にいる期間を伸ばしたり、トレーナーを配置したりして安心感を持たせる。早くから責任ある業務に携わらせてやりがいも感じさせ、早期離職を防ぎたい考えだ。
卒業生は経営の一翼担う――ファンケル/会社内に「塾」創設
化粧品・健康食品のメーカー㈱ファンケル(神奈川県横浜市、島田和幸代表取締役社長執行役員CEO、973人)は創業理念をはじめとした会社全体の理念教育の強化を図るとともに、次世代の経営層の育成に力を注ぐ。 社内教育の専門組織「ファンケル大学」では、2014年~15年に全社員を対象に「創業理念研修」を実施した。15年からは毎年4月を「創業月間」に位置付け、全グループで理念を考える機会を設けている。 13年には創業者の意思を受け継ぐ次世代の経営層を育成する「池森経営塾」を開催。卒業生はすでに経営の一翼に。
65歳定年へ”シニア型”総合職――明治安田生命
明治安田生命保険相互会社(東京都千代田区、根岸秋男 取締役 代表執行役社長)は、4月から新たに総合職(シニア型)を新設し、定年年齢を65歳に延長する。 60歳を機に同じ役割・グレードのまま転換を行うもので、管理職のポストを含めて担当できる職務には一切の制限を設けない。処遇面については、60歳前の体系から年功色の強い部分等を廃止する方向で再編しており、 非管理職のスタッフや専門職に対してはそれぞれ専用の給与・賞与テーブルを設けた。従来制度で標準的に再雇用された場合と比べると、年収は約2倍にアップする。一方で年俸制を採っている部長、支社長などのマネジメント職には、60歳以前と同一のテーブルを適用する。
産・育休明け 勤務地選択制度を導入――キリンビール
キリンビール㈱(東京都中野区、布施孝之代表取締役社長)は4月以降、産前産後休業や育児休業から復職する社員に対し、勤務地を都道府県単位で選択できる制度を開始する。配偶者との同居や親族からの支援が受けやすい地域で復職させ、仕事と育児の両立を図りやすくする狙い。 対象は、勤続3年以上で全国転勤型の総合職などとした。キリングループ全体では、以前から一部で行っていた「制約のある働き方」を体験する取組みを拡大した。
小規模・男性のピーク588万円――国税庁・民間給与実態(細部集計)
国税庁の民間給与実態統計によると、従業員30~99人の小規模事業所に勤務する男性の年間給与は、55~59歳588万円がピークだった。100~499人では643万円、中堅規模の500~999人では718万円、5,000人以上では906万円などとなっている。賃金カーブにもめだった規模間格差がみられ、20~24歳の水準に対するピークの倍率は、中・小規模がともに2.11倍であるのに対し、5,000人以上では3.70倍となっている。
長時間労働是正へ「共同宣言」――連合と技能協
連合(神津里季生会長)と(一社)日本生産技能労務協会(青木秀登会長)は2月27日、長時間労働の是正に向けた「共同宣言」を締結した。 実現に不可欠な「36協定の適正な締結」を社会全体に訴えていく重要性について意気投合したもので、4月から始まる改正労働基準法に基づく「罰則付き時間外労働の上限規制」の実効性確保を狙う。 長時間労働があって成り立つ面がある日本の商慣行見直しにつなげたい考えだ。
契約社員へ退職金支払い命令――東京高裁・労契法20条裁判
㈱メトロコマースの元契約社員ら4人が正社員との労働条件の差を不合理として訴えた裁判の控訴審で、東京高等裁判所(川神裕裁判長)は一審判決を変更し、退職金の一部など計220万円の支払いを命じた。 退職金には功労報償的な性格が含まれるとして、長期勤務者に一切支払っていないのは不合理と判断。正社員の退職金規程に当てはめ算定した額の4分の1の支払いを命令した。一審は早出残業手当の割増率を除き請求を棄却、損害額を4109円としていた。
大卒・非管理職35歳32.8万円に――関西地域の標準者賃金
関経連など9つの経営者団体が共同実施した「標準勤続者賃金」調査によると、大卒・事務技術のモデル賃金は非管理職が22歳20.8万円、35歳32.8万円、管理職では45歳49.0万円、55歳57.1万円などとなっている。ピーク時の水準は、非管理職で初任給の1.99倍、管理職では2.71倍だった。付帯調査では定年後再雇用者の処遇について調べており、公的年金支給開始前の60~61歳の年間賃金は383.7万円、62~64歳は370.4万円だった。回答企業の23.4%が直近3年以内に処遇を見直しており、今後の見直しを予定する企業、検討する企業が、合わせて3割強を占めている。
バイトへ賞与不支給は不合理――大阪高裁
基本給や賞与、福利厚生に関する正職員との相違が労働契約法第20条に違反するとして、大阪医科薬科大学のアルバイト職員が起こした訴訟で、大阪高等裁判所(江口とし子裁判長)は、賞与や夏期特別有給休暇などについて、全く支給・付与しないことを不合理とする判決を下した。 賞与については、職員の成績や同法人の業績に連動しない算定方法であり、新卒正職員の60%を下回る場合、不合理な相違に当たるとしている。
パワハラ防止措置を義務化――厚労省・今国会に法案
厚生労働省は、パワーハラスメント防止対策の法制化などを新たに規定した女性活躍推進法等の一部改正案要綱をまとめた。このほど、労働政策審議会(樋口美雄会長)の了承を得たため、近日中に通常国会に提出する。職場のパワハラを防止するため、労働者の相談に応じるなど、 事業主に必要な雇用管理上の措置を義務付けた。紛争解決のための調停制度の利用および都道府県労働局による助言・指導なども実施する。
「70歳まで雇用」
日本経済新聞社の社長100人アンケ-トによると、「70歳まで働ける制度を既に始めている」企業は8.3%にとどまっているが、「検討している」「今後検討を始める予定」の企業は半数を超えた。
70歳までの雇用を導入、検討、検討予定の企業の狙い(複数回答可)は
・シニアの経験やノウハウを活用 ・・・ 86.4%
・技能の継承や維持 ・・・ 50%
・人手不足の解消 ・・・ 29.5% であった。
一方、検討していない企業の理由としては
・世代交代や若返りが停滞 ・・・ 35.4%
・健康上の問題が多くなる ・・・ 29.2% があがった。
雇用形態をみると、既に始めている企業の9割が再雇用で、検討している企業でも75.6%が再雇用を想定していた。定年延長についてはどちらも10%未満で定年廃止の回答はなかった。賃金水準は、定年前と同じは4.8%にとどまり、定年前の7割または5割と回答した企業は共に14.8%で最多だった。一般的に賃金水準が維持される定年延長の場合、人件費負担が増す可能性があり、再雇用で賃金水準を下げることで負担回避したい企業側の狙いが読み取れる。ただし、定年前と同じ業務であるにもかかわらず、明確な理由がないまま一律に賃金水準を下げることは同一労働同一賃金の観点から問題でもあり、活用と処遇を個別にしっかりと決めていくことが求められる。 以上