関東経済産業局は、IoT の活用に取り組む中小製造業の事例集を初めて作成した。複数の設備の稼働状況を可視化することで生産性を向上させたケースなど、20 社の好事例を収録している。外部IT企業と連携して工場の工程改善を社外からも確認できるようにし、かつ工場内の入力作業を専任者に実施させる事例もあった。導入に向けた要点には、理解のある経営者と、社内のITに強い人材の存在を挙げている。
月別アーカイブ: 2017年5月
特定最賃 30超す業種が存続危機――3%程度地賃上昇で
埼玉県がBからA、山梨県がCからB、徳島県がDからCに目安額のランク区分が変更された地域別最低賃金審議が間もなく始まる。2020年代半ばの全国加重平均1000円に向け、前年同様「3%程度」の引き上げが見込まれる一方、業界の労使が地賃より高い水準で自発的に設定する特定最賃の効力消失の危機に陥るケースが今年も相当数に上りそうだ。仮に昨年と同率の引上げが行われた場合、全国で30を超す特定最賃が同様の状況に陥る可能性がある。
大卒・総合職でピーク62万円――中労委・大手のモデル賃金
大手企業380社を対象とする中央労働委員会の賃金事情調査によると、大卒・総合職のモデル賃金は22歳21.5万円、35歳39.1万円、45歳54.0万円、55歳61.9万円などとなった。20歳代以外は総じてダウンし、減少率は軒並み1%を超えている。ピークを迎える55歳の水準は、22歳の2.88倍だった。平成28年の賃金改定額は6,638円となり、ベースアップ分は1,335円に。賃金表がある企業のベア実施率は46.5%で、前年を10ポイント下回っている。
精神障害発生企業を重点監督――厚労省・大手の過労自殺頻発で
厚生労働省は今年度から、精神障害とパワーハラスメント防止を狙いとする監督指導を強化した。精神障害に関する労災支給の決定が行われた事業場や傘下事業場において複数の精神障害を発生させた企業の本社事業場を対象にメンタルヘルス対策を中心とする個別指導を実施する。このうち精神障害に基づく過労自殺(未遂含む)を発生させた企業の本社事業場については、労働安全衛生法に基づく特別指導事業場に指定し、全社的・計画的改善指導を図る。
女性活躍推進 他社社員間の交流支援――東京都
東京都は、女性活躍推進に積極的な中小企業の支援施策を拡充する。職場での取組みの中核を担う管理職に対する研修や「責任者」設置企業への奨励金制度などを継続するほか、新たに女性従業員による交流会をスタートさせる。ロールモデルとなる他企業の女性管理職や似た立場の他社従業員と情報交換することで、職場への定着やキャリアアップにつなげるのが狙い。従業員交流会は全10回計200人の参加を見込む。
定年退職金・勤続37年で2500万円に――人事院/退職一時金・企業年金調査
人事院が調査した事務・技術関係職種の定年退職給付額は、大卒標準者を含む勤続37年が2,515万円、同38年が2,460万円だった。1,000人以上規模が3,000万円を超えるのに対し、100~500人未満では1,600万円台にとどまっている。制度形態では退職一時金のみの企業割合が48.3%と最も多く、企業年金との併用型39.6%を8.7ポイント上回った。企業年金では確定拠出(企業型)の採用率が37.7%となり、5年前の前回調査から13ポイント伸びている。
固定残業代制の明示を――厚労省・職業紹介指針を改正へ
厚生労働省は、今通常国会で改正職業安定法が成立したのに伴い、職業紹介事業者や求人企業などが求職者に対して適正に労働条件明示をするための「指針」を大幅改正する。指針案によると、求人企業が固定残業代制度、みなし労働時間制度を採用している場合、これを明示しなければならないとした。紹介時に明示した労働条件を変更・追加するときは、対照することができる書面を交付するのが望ましいとしたほか、必要に応じて説明する。適用は平成30年1月1日。
人材確保へ人間関係など重視を――中小白書
中小企業庁は、2017年版中小企業白書を公表した。中小企業の人手不足が深刻化しているとして、採用・定着に向けた企業の積極的な取組みが重要と指摘。人事評価制度などの社内制度の整備に加え、職場環境および人間関係への配慮や時間外労働削減に取り組むことが必要と提言している。女性など多様な人材を活用して人材を確保している企業では、勤務時間の弾力化や作業負担の軽減などに積極的に取り組んでいる傾向がある。
若手の査定昇給分増額――日本ガイシ
日本ガイシ㈱(愛知県名古屋市、大島卓社長)は、複線型としていた一般社員層の人事制度を改め、職種・学歴を問わず誰もが上位職群にチャレンジできる体系を採用した。中高年層の年齢昇給を廃止・抑制し、若年層の業績反映分を増額してメリハリを利かせている。新設した業績評価制度では、目標に対する取組みを仕事の量・質など5つの指標から採点、これを踏まえて10段階の総合評価を行い、昇給・賞与に反映する。併せて定年年齢を65歳に引き上げ、基本給の減額を伴わない仕組みへ移行した。原資については、中高年層の昇給抑制分に加え、企業年金受給を5年先送りし、終身部分の給付を減らすことで確保している。
「学生アルバイトの実態調査」
京都府内の大学院生、大学生、短大生、専門学校生当1899人を対象にアルバイト勤務における実態調査が行われた。
アルバイト時間数は「10時間以上20時間未満」が49.1%で約半数を占めているが、
「20時間以上」も26.3%いた。
収入面では「3万円以上6万円未満」が46.4%、次いで「6万円以上9万円未満」が27.4%だった。
「学生は法律を知らない」と軽んじトラブルになるケ-スが報道されることがあるが、以下の法律に関する質問に対し、「知っている」と答えた割合は(複数回答)
・「6時間以上働く場合は法定の休憩時間が必要」 → 62.9%
・「適用される最低賃金の額」 → 57.2%
・「業務命令により行う準備、片付け時間も賃金支払いが必要」 → 44.9%
・「雇入時には労働者に労働条件通知書の交付が必要」 → 39.6%
で、そのレベルは決して低くない。
また、会社(事業主)等とのトラブル等での具体的内容については(複数回答)
①一方的にシフト変更を命令された → 27.5%
②1日6時間を超えても休憩時間が与えられなかった → 27.5%
③採用時に約束したシフト以上のシフトを入れられた → 21.5%
④準備や片付けの時間の賃金が支払われなかった → 20.8%
⑤一方的にシフトを削られた → 20.6%
⑥休憩時間に仕事や来客があり、休憩できなかった → 18.8%
⑦募集していた労働条件が実際の労働条件と異なっていた → 15.3%
⑧給与明細をもらえなかった → 14.4%
⑨暴力や嫌がらせを受けた → 12.5%
⑩時間外労働の割増賃金が支払われなかった → 12.0%
が上位にのぼった。
SNS等を通じて情報があっという間に拡散する時代にあって、会社(事業主)は適正な雇用に向け、法律への抵触や違反が無いかを改めて確認する必要性がある。
以上
転勤命令・育児、介護に配慮――厚労省が指針示す
厚生労働省は、このほど「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」を作成した。転勤命令に当たって踏まえるべき法規範や雇用管理のポイントを分かりやすくまとめたもの。原則として、就業規則などに定めがあれば、労働者の個別同意なく転勤させることができるが、経営上の必要性が認められなかったり、労働者が被る不利益が過大な場合、権利濫用とみなされる。労働者の事情や意向を日常的に把握しながら、キャリア形成の展望に沿った転勤の実施を求めている。
業務効率化へ「奨励金」――オリックス生命保険
オリックス生命保険㈱(東京都港区、片岡一則代表取締役社長、1366人)は業務の効率化を目的に、朝方勤務奨励金、リフレッシュ休暇取得推進などの人事施策を試験導入した。「奨励金」は定時よりも1時間早い朝8時までに出勤し、18時までに退社した場合に残業代に上乗せして1000円を手当として支払うもの。1カ月の上限は1万5000円。早く出社して早く帰る働き方を意識付けさせるための仕組みで、残業時間短縮などの成果が出た場合は正式に制度化する方針。
優秀パートを無期・準行員に――千葉興銀
㈱千葉興業銀行(千葉県千葉市、青柳俊一頭取)は、優秀なパートタイマーにさらなる活躍を促すため、職務限定かつ勤務地限定の「アソシエイト行員」を導入した。一定レベルのスキルを持つ人材を無期雇用・月給制の“準行員”に転換するもので、パート時代の職種を継続し、転居を伴う異動も行わない。管理職手前の課長代理相当の役割を担うことを前提とし、給与面でもほぼ同レベルの行員の水準を確保した。行員への転換が条件面で高いハードルとなっていたことを受け、より働きやすい区分を設けて優秀者の囲い込みを図る。