局長指導と同時に企業名公表――厚労省・監督指導手順示す

厚生労働省は、違法な長時間労働や過労死などが複数の事業場で認められた企業に対する指導と企業名公表の方法・手順を明らかにした。対象となった企業に対しては、本社を管轄する労働基準監督署長が経営幹部を呼び出して全社的な早期是正・改善を指導する。その後、再度、全社的な監督指導を実施し、是正・改善していない場合、都道府県労働局長による経営トップによる指導にうつるとともに、企業名を公表する。

標準化活動推進 人材育成へ行動計画策定――経産省

経済産業省は、企業における国際標準化活動を担う「標準化人材」の育成に向けた「3つのアクションプラン」を策定した。企業や経産省、業界・関係団体がただちに取り組むべき項目として、組織体制および人事評価制度の明確化などの3項目を挙げている。経産省は標準化の成功事例などを含むコンテンツを作成し、経営者の理解を深めるための企業訪問を開始するとした。企業は、好事例を評価制度などの構築に生かす。

現金給与総額・0.5%増の31.5万円に――厚労省・毎勤27年平均速報

毎月勤労統計調査の平成28年平均(速報)によると、現金給与総額は0.5%増の31.5万円となり、3年連続で上昇した。0.2%低下した消費者物価指数を受けて、実質賃金指数が0.7%増と5年ぶりにプラスに転じている。前年並みの24.0万円にとどまった所定内給与も、0.2%の微増ながら2年連続で改善した。雇用形態別では、短時間労働者が0.1%減の9.2万円だったのに対し、フルタイムの一般労働者が0.6%増の30.6万円と伸びている。27年平均で初めて3割に達したパート比率は、30.7%に拡大している。

残業規制強化へ法改正――厚労省が方針まとめる

厚生労働省は、企業の自主的な取組みでは限界があるとして、労働基準法の改正により時間外労働の上限規制を強化すべきであるなどとする「論点整理」を明らかにした。1日や1週といった短い期間を単位として上限を設定すると、業務の繁閑に対応できない可能性があることに留意が必要とした。勤務間インターバル制度の普及も促していくとしている。

「テレワーク推進」へ拠点――東京都・新事業

東京都は平成29年度、「誰もが活躍できる都市」の実現をめざし、テレワークの推進や中小企業における多様な人材の確保に向けた取組みを強化する方針だ。テレワークに関する情報提供や相談対応の拠点を新設するほか、在宅勤務やモバイルワークなどのモデル事業を行い、成果を広く発信する。テレワーク導入経費の一部を補助する制度も創設する。多様な人材の確保に向けて、200社を対象としたコンサルティング事業も開始する。

大卒・総合職35歳で39.3万円――経団連・定期賃金調査

経団連と東京経協が共同実施した「2016年6月度定期賃金調査」によると、総合職・大卒のモデル賃金は22歳21.6万円、35歳39.3万円、45歳52.1万円、ピークの55歳61.6万円などとなった。35歳までは各年齢で0.5~1.3%増加した一方、中高年層は軒並みマイナスとなり、45歳以上では軒並み2~3%台の減少率を示した。初任時22歳に対するピーク時の倍率も、前年の2.96倍から2.86倍に落ち込んでいる。役職者賃金は部長が0.1%増の69.8万円、課長が0.6%減の53.6万円などとなり、全体にめだった変化はみられなかった。

処遇改善へ雇用環境・均等局新設――厚労省・監督官も増員

厚生労働省は平成29年度、働き方改革や生産性向上、少子化対策に的確に対応するため、本省組織を大幅改編する予定である。現行の雇用均等・児童家庭局や職業能力開発局を廃止し、非正規労働者の処遇改善などを担当する「雇用環境・均等局」、労働生産性の向上を推進する「人材開発統括官」(局長級)を新設する。併せて、長時間労働是正へ向けた労働基準監督官の大幅増員、同一労働同一賃金の実現支援のための人員体制強化を図る。

ロールモデル普及に注力――日本公認会計士協会・「女性活躍促進協議会」を設立

日本公認会計士協会(関根愛子会長)は、女性会計士の復職支援やネットワークづくりに取り組む「女性会計士活躍促進協議会」を立ち上げた。多様なロールモデルを広く紹介することに力を入れ、「会計士は働きやすく、キャリアも作りやすい」とアピールする。時間単位で働く会計士や、社外役員を求める企業の声を受け、それらニーズに対して職場を離れている女性会計士をマッチングすることを検討していく。復職に向けた研修の開催も予定しており、スキルや経験値向上につなげる。

2年前と同じ2.2%に――経団連・昇給・ベースアップ調査

経団連と東京経協が共同実施した「昇給、ベースアップ実施状況調査」によると、2016年の平均賃上げ額は6,812円、所定内賃金に対する賃上げ率は2.2%となった。15年結果と比べると496円減、率では0.2ポイント低下し、14年並みの水準に落ち込んだ。昇給・ベアの区別がある企業222社の集計では、ベアの実施割合は55.4%となり、3年連続で過半数を占めている。賃上げに当たって考慮した要素は、前年と同じく企業業績が6割強、世間相場が5割弱と大勢を占めた。

日本とアメリカにおける女性雇用をみる

立命館大学の筒井淳也教授の研究によると、女性の雇用セクタ-別職業構成は
日本とほかの先進国では大きな違いがあるとされている。
例えば、民間企業における日本女性の仕事の特徴は、
・事務職 → 30.85%
・サ-ビス、販売職 → 30.45%
が多いが、アメリカ女性の場合は
・事務職 → 19.34%
・サ-ビス、販売職 → 16.36%
程度と低く、
・管理職 → 14.62%
・専門職 → 16.95%
など、収入や生産性の高い職種に就く女性が多くいるのが日本との大きな違いとなっている。

仕事と家庭の両立という意味ではアメリカの方が法整備は遅れていて、全国レベルでの産休育休制度はない。そのような中で日本よりずっと女性活用が進み、管理職の半分を女性が占めるまでなったのは、生産性の高い仕事に女性が就いているという事実と、アメリカの多くの組織は日本に比べて性別や人種によらない能力発揮や均等待遇を重視しており、女性労働者についても育児支援よりも能力発揮の支援が優先されていると言える。
参考までに、男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の比率ではアメリカが80%前半であるのに対し、日本は50%前半となっている。(アメリカ経済統計局、国税庁デ-タより)

残業ゼロで月1.5万円支給――はるやまHDの働き方改革

㈱はるやまホールディングス(岡山県岡山市、治山正文代表取締役社長執行役員、1267人)は今年4月から、残業しない社員に対して1月当たり1万5000円を支給する「No残業手当」制度を開始する。社員が自発的に残業をなくそうと意識して働くよう仕向けることが目的で、「残業しない社員が得をする」制度とした。今後、さらに定時帰宅できる仕組みを実行していく。

4月から所定内労働20分短縮――味の素・労使で残業ゼロへ

4月から現行の1日の所定労働時間を20分(年間80時間)短縮する味の素(株)は、「残業ゼロ」の考えに基づくマネジメントやワークスタイルの変革に労使一体で取り組んでいる。昨年の16春闘で所定労働時間の短縮要求を行った労働組合に、「自ら率先する」と踏み込んだメッセージを添えて具体的短縮時間数を回答した会社側。多様な人材が活躍できる環境づくりの一環で、1日7時間労働も視野に、グループ企業や社会全体への波及を狙う。

非管理職35歳32.1万円に――関西地域のモデル賃金

関西地域の9つの経営者団体が共同実施した標準勤続者賃金によると、大卒・事務技術のモデル所定内賃金は非管理職が22歳20.7万円、35歳32.1万円、管理職が45歳48.4万円、55歳57.1万円などとなった。非管理職では定年直前、管理職では55歳でピークを迎えており、初任時22歳の水準に対する倍率は、それぞれ2.01倍、2.76倍だった。前年調査では軒並み低下傾向を示していたが、非管理職の45~55歳を除いてプラスに転じた。管理職の改善がより顕著で、50歳代では1.5~3.2%伸びている。