パートの厚年適用拡大へ助成金――厚労省が拡充へ

厚生労働省はこのほど、雇用保険法に基づく各種助成金を広範囲に見直した。パート労働者への厚生年金の適用拡大が始まったのを受け、キャリアアップ助成金を改善、週所定労働時間を延長した中小企業に対して、労働者1人当たり4万~20万円を支給する。労働移動支援助成金では、教育訓練施設などに委託して再就職に向けたスキルの向上を行う事業主に上限30万円を支給していく。

中小の人手不足対策 業種、規模別に対策提示へ――中企庁

中小企業庁は、企業の人手不足が深刻化していることから、有識者で構成する「中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会」(座長・今野浩一郎学習院大学教授)を設置した。女性や高齢者、障害者などの多様な人材から選ばれる職場環境づくりのポイントと、人手不足を補うための生産性向上の進め方を検討する。人材の属性別や業種別のほか、創業時や安定成長期など企業の成長ステージ別に、企業における対策を提示する方針だ。

「超長期の羅針盤」模索へ――連合が検討委発足

「人口減少・超少子高齢社会ビジョン」検討委員会が連合の内部に発足し、第1回会合が11月8日に開かれた。先進各国と比べ極端に速いスピードで人口減少・超少子高齢社会を迎えた日本において、労働運動が取り組むべき課題などを「超長期の羅針盤」としてまとめられないか検討する。「2035年」の日本社会を射程に入れつつ、連合がめざす社会像自体の補強・強化もあり得るスタンスで臨む。逢見直人事務局長を座長に据え、外部の有識者3人を含む19人のメンバーよる本格的検討が始まった。

定年後の賃金引下げ容認――東京高裁

定年後の再雇用で、職務内容などが同じにもかかわらず賃金が低下するのは違法として長澤運輸㈱(神奈川県横浜市)の労働者3人が同社を訴えた裁判の控訴審で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は、賃金引下げを認める逆転判決を下した。再雇用者の賃金引下げは、広く行われ社会的にも容認されているとする。1審(東京地裁)では、労働契約法第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)違反として賃金の差額分の支払いを命じていた。

長澤運輸事件・現状追認、20条の理念は?――東京高裁判決に労組書記長が思い

「現状追認判決だ」――注目された長澤運輸事件の控訴審判決直後の会見で、原告が所属する全日本建設運輸連帯労働組合の小谷野毅書記長は、判決に対し怒りを込めてこう語った。「社会問題化している格差や差別の不合理性を糺すのが労働契約法20条の理念。定年後再雇用だから仕方ないというのは到底承伏できない」とも述べ、最高裁で争う考えを示した。同席した宮里邦雄代理人弁護士は、同一労働同一賃金が議論されている社会的背景を考えても妥当性を欠く判決だと訴えた。

東京の4人世帯26.8万円――平成28年地域別標準生計費

今年4月の4人世帯の標準生計費は、東京26.8万円、大阪市17.3万円、名古屋市22.8万円などとなった。人事院による全国の水準22.2万円と比較すると、東京は4.6万円高く、名古屋市では0.6万円高くなっているが、大阪市は4.9万円下回っている。47都道府県全体の半数を超える25地域で前年比プラスとなった一方、7割近い31地域が20万円台前半に集中しており、20万円以下は12地域にとどまっている。

勤続1年で0.3カ月分アップ――解雇紛争解決金・厚労省検討会

厚生労働省内で、解雇無効時における金銭救済制度の検討が進んでいる。労働審判制度や民事訴訟上の和解において、解雇に関するほぼ全ての労働紛争が金銭で和解に至り、その金額は正社員の勤続年数が1年増すごとに0・3ずつ月収倍率が増加する傾向にある実態などが分かってきた。近年の裁判では、解雇を不法行為として、将来の就労見込みを含めた損害賠償額を認めるケースもあり、解決金水準にも影響しそうだ。

多店舗展開企業の安全衛生活動を支援――中災防

中央労働災害防止協会は、災害が増加傾向にある第3次産業などを対象とした「企業・業界団体等安全衛生総合支援事業」を開始した。小売業、飲食店などの多店舗展開企業や業界団体で組織的な安全衛生活動が実施されるよう、ノウハウの提供や人材育成の支援を行う。現在、対象企業の本社と事業場を訪問して各社の現状を把握しているところで、今後は各社の改善計画を作成。計画に基づき、本社・事業場それぞれに対し、作業マニュアル作成のアドバイスや安全衛生の教育研修などを実施する。

複線化しグローバル職群新設――国際紙パルプ商事㈱

国際紙パルプ商事㈱(東京都中央区、田辺円社長)は、総合職の上位階層を複線化し、海外事業向けの人材や高度専門職を育成・処遇する人事制度を導入した。非管理職の最上位グレード以上に3つのコースを設けるとともに、課長・部長・本部長の役職位とグレードをリンクさせている。担当する事業領域によってグローバル職群、ナショナル職群、スペシャリスト職群に区分し、職群ごとの給与テーブルを設けた。重複型だった基本給体系も見直し、総合職全体を通して階差型の体系へ改めている。今後はグローバル職群の育成を促し、並行して海外事業の拡大を推進する。

「従業員1人当たりの教育研修費の実態と推移」

産労総合研究所は2016年6月から8月に会員企業から任意抽出した約3,000社を対象にアンケ-ト調査を行った。
従業員1人当たりの額とは、回答企業の教育研修費用総額を対象事業所の正規従業員数で除したもので、研修受講者の延べ人数で除したものとは異なる。
教育研修費用総額は企業規模によって大きく異なるため、水準を比較するには1人当たりの額を参照するのがよい。

≪予算≫
2011年度 45,000円
2012年度 39,888円
2013年度 42,462円
2014年度 40,684円
2015年度 47,170円

≪実績≫
2011年度 32,034円
2012年度 36,054円
2013年度 32,010円
2014年度 36,877円
2015年度 35,662円

因みに2016年度予算は44,892円となっている。

2015年度を規模別でみると、
大企業40,679円、中堅企業37,326円、中小企業24,613円で企業間規模の格差による推移では、ここ数年は大きな変化は見られない。
また、業種別では、
製造業25,850円、非製造業40,088円で製造業は減少傾向、非製造業は若干の増加傾向にある。

以上

職場の嫌がらせ対策強化を――東京都審議会提言

東京都男女平等参画審議会は、東京都女性活躍推進計画の策定に向けた「基本的考え方」に関する「中間のまとめ」を取りまとめた。マタニティハラスメントなどが社会問題化していることから、同計画に盛り込むべき事項の一つに職場におけるハラスメント対策を挙げた。都による相談態勢の充実や使用者への働きかけの強化を求めている。働き方の見直しも重要課題として、企業の取組みを後押しするための奨励金支給も提案した。都は、今後示される最終答申を踏まえ、同計画を立案する。

「2%程度」の賃上げへ――連合・17春闘基本構想

連合は、10月20日の第13回中央執行委員会で、17春闘の「基本構想」を決定した。3年連続の賃上げにもかかわらず消費が伸びない現実を直視し、「ここで止めたらますます状況が悪くなる」とみて4年目となるベア要求を産別に促す方針。その際の水準は「2%程度」で、定昇制度のない中小の場合は1万500円とする。とりわけ低所得者層の所得向上を通じた消費拡大につなぎたい考えで、16春闘で掲げた「大手追従・準拠からの脱却」「サプライチェーン全体の付加価値分配」の旗を振り続ける。

大学卒・事務系21.4万円に――2016年3月卒決定初任給調査

経団連と東京経協が共同で実施した2016年3月卒の決定初任給調査によると、大学卒の水準は事務系21万3,892円、技術系21万3,677円、高校卒・現業系は16万8,230円だった。対前年引上げ額は順に1,338円、1,443円、933円となっている。前年の水準から引き上げた企業が全体の51.1%を占め、2年連続で据え置いた企業の割合を上回った。そのうちの8割強が賃金改定後に引き上げているのに対し、2割弱は求人の段階で前年を上回る水準を示していた。