2024年3月14日
「今年は昨年以上の熱量と決意をもって、物価上昇に負けない賃金引上げを目指す」。
経団連の十倉雅和会長は2024年の賃上げを巡る春季労使交渉が本格スタ-トした1月の労使フォーラムで方針を示した。
経団連の集計によると、23年の春季労使交渉での大手企業の平均賃上げ率は3.99%だった。
昨年9月の懇談会で十倉会長が示した「4%超」とする水準は実現すれば1922年以来となる。
後に「数字ありきではない」と事実上撤回したが、24年に4%を超える水準を達成できるかは、日本の30年デフレ脱却の是非を占う一つの焦点となる。
野村証券の1月中旬時点の集計によると、23年11月以降の賃上げ表明は大企業を中心に約30社にのぼり23年の同時期の10社弱を上回る水準で推移する。
日本は30年に及びデフレ下で、従業員の雇用を優先したことも賃上げの停滞に拍車をかけた。
主要国の約20年の賃金水準の変化を購買力平価ベ-スで比較すると、米国が1.3倍、韓国が1.5倍に伸びるなか、日本はほぼ伸びていない。
足元で物価高が続き、賃金上昇が追いついていない。物価を考慮した実質賃金は23年12月まで21カ月連続でマイナスが続く。物価高を克服するには継続的な賃上げが欠かせない。国内の雇用者数の7割を占める中小の賃上げも課題となる。
連合は5%以上の賃上げを要求している。00年代以降は22年まで1%台~2%台前半の低水準だった。2年連続で3.5%を超えれば、およそ30年ぶりとなる。3月13日の集中回答の結果に注目が集まる。
以上