2016年1月29日
退職金は、支払い条件が明確であれば労働基準法11条の「労働の対償」としての賃金に該当する。その法的性格は、賃金後払い的性格、功労報償的性格、生活保障的性格を併せ持ち、個々の退職金の実態に即して判断しなければならない。たとえば、賃金後払い的性格からすれば、懲戒解雇のケースでしばしば登場する「退職金没収」は法違反となってしまうが、功労報償的性格に立てば、退職時に使用者が勤務の再評価を行った結果として認められることになる。しかし、濫用は許されず、勤続の功を抹消してしまうほどの顕著な背信が認められる場合にのみ有効とされている。