割増不払いで社長逮捕――十和田労基署

青森・十和田労働基準監督署(山脇雅史署長)は、労働者9人の時間外労働に対する割増賃金の一部約500万円を期日に支払わなかったとして、同県東北町の東北みやげ煎餅㈱と㈲エハタの代表取締役社長を兼任する男を労働基準法第37条(割増賃金)違反の疑いで逮捕し、青森地検八戸支部に身柄送検した。青森労働局によると、管内での逮捕事案は約30年ぶり。同労基署の調査に対して虚偽の賃金台帳を提出するなど、証拠隠滅の恐れがあったため逮捕に踏み切った。法人としての両社は書類送検した。

格差は1.5%に広がる――協会けんぽ

全国健康保険協会(協会けんぽ)は令和4年度の都道府県別の保険料率を決めた(表)。料率が最も高い佐賀と最も低い新潟の差は1・49%と、今年度の1・18%から拡大した。都道府県ごとの料率は2年度前の1人当たり医療費の実績などをもとに算定している。令和2年度は4~5月にかけた新型コロナウイルスの1度目の緊急事態宣言により、都市部を中心に医療機関の「受診控え」が続出し、医療給付に大きな影響を与えた。その結果、1都3県などで料率がマイナスになったとみられる。

奨学金返還費用を助成――東京都

東京都は、中小企業の人材確保を支援するため、奨学金の貸与を受けている学生を技術者として採用した際に、企業と東京都が協力して奨学金返還費用の一部を助成する新事業を開始する。建設、IT、ものづくり分野の中小企業が対象で、都に登録済みの学生を採用した場合、企業の負担額と同額を東京都が負担する。企業が負担するのは3年間で、負担額は年間5万円、12万円、25万円の3つから選択する。

専任講師の雇止め無効――東京地裁

東京福祉大学と有期労働契約を締結し、専任講師として働いていた労働者が雇止めを不服とした裁判で、東京地方裁判所(三木素子裁判長)は雇止めを無効と判断し、バックペイ支払いなどを命じた。同大学は譴責処分などが理由と主張したが、同地裁は処分後に1度契約を更新している点を指摘。雇止めに客観的・合理的な理由がないとした。一方、労働者の無期転換については、専任講師には教員任期法の特例が適用されると評価し認めなかった。同法は大学教員の無期転換申込権が発生するまでの期間を10年超と定めている。

男性の育児休業取得推進 奨励金支給数を2倍に――東京都

東京都は来年度、男性の育児休業取得促進の取組みを強化する。男性労働者に育休を取得させた企業に最大320万円の奨励金を支給する「働くパパママ育休取得応援事業(働くパパコース)」について、支援数を前年度の400社から750社へと大幅に増やす方針だ。分割取得時も支給対象とし、通算して15日間を取得させた場合に25万円を支給、以降15日ごとに25万円を加算する。経済団体と連携し、経営者への意識啓発キャンペーンも展開していく。

一人親方も保護対象に――厚労省

厚生労働省は、事業者の各種措置義務を定めた労働安全衛生法第22条の規定を、労働者と同じ場所で働く労働者以外の者(一人親方など)も含めて保護対象とするため、同条に基づく11の省令を改正する。事業者の指揮命令関係にない一人親方など請負人の安全衛生の確保を狙ったもの。省令に定めた特定の作業方法の遵守や保護具の使用の必要性などについて、新たに周知義務などを設ける方針である。昨年5月の最高裁判所判決に沿った見直しとした。

処遇維持して65歳定年へ――TOTO

TOTO㈱(福岡県北九州市、清田徳明社長)は今年10月、国内のグループ会社10社を含めて65歳定年への段階的な移行を開始する。直前の9月末までに60歳を迎える世代を61歳定年とするのを皮切りに、今後5年間かけて毎年1歳ずつ定年年齢を伸ばす。一般社員層では60歳到達後も処遇水準を維持し、減額措置は採らない。管理職層については同時に人事制度を改め、新たにグループ共通の役割等級へ一本化する。ライン長などの職位に留まれるのは最長60歳までとし、役割等級に合わせて処遇していく。

育介法25条 制度の利用対象者に適用――東京高裁

子育てを理由に配転時期の配慮を申し出た労働者が、その後に行われた降格処分は育児介護休業法が禁止する相談を理由とした不利益取扱いに当たると訴えた裁判で、東京高等裁判所(中山孝雄裁判長)は同法第25条は育児休業などの制度の利用にかかる言動の相談が対象で、制度の取得要件を満たさない労働者は対象外と判断した。労働者は配慮を求めたところ、上司から「行く気がないんだな」と面談を打ち切られ、降格処分に遭ったと主張していたが、同高裁は、面談は相談に当たらず、上司の言動も同法に違反しないと退けている。労働者の控訴はすべて棄却となった。

労働契約更新上限 労使合意で設定を――厚労省検討会

厚生労働省は、労働契約法第18条の無期転換ルール適用を回避するための雇止めが労使紛争に発展するケースが少なくないとして、使用者に労働契約更新上限の有無など労働条件明示の義務付けを検討していることが分かった。とくに、契約更新時に更新上限を新たに設ける場合、労使双方が納得の上で合意することを促すとしている。無期転換申込権が発生した労働者に対して申込機会の発生通知とともに権利行使の意向確認を使用者の義務とすることも課題としている。

テレワ-ク新入社員への影響4割

就職情報サ-ビスの学情が企業の採用担当者に実施した調査によると、テレワ-クを実施している企業に入社1年目の社員の活躍について尋ねると、「影響がある」「どちらかと言えばある」が計43.7%あった。「影響がない」は4.8%、「どちらかと言えばない」は14.3%だった。

影響があると回答した人に具体的な影響(複数回答)を聞いたところ、「上司や先輩との人間関係が築けていない」が74.3%で最多だった。
次いで「同期間での人間関係が築けていない」が55.4%とテレワ-クが社内の人間関係の構築に響いていると考えている人が多いと言える。

一方で「スキルの習得や自己学習に取り組む社員が増えた」14.9%、「自分から質問するなど自走できる社員が増えた」6.9%など、テレワ-クで自ら行動できる社員が育ったと前向きに評価する声も上がった。

若手社員がテレワ-クをするときに課題となる点(複数回答)では、「モチベ-ションの状態をつかみにくい」が65.4%で最も多かった。
また、「作業の進捗状況や成果の把握が難しい」が55.2%などもあり、テレワ-ク時のコミュニケ-ションの充実が引き続き課題と言える。

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総合職・標準者賃金 大卒35歳で38.4万円――経団連・東京経協 21年6月度定期賃金調査

経団連と東京経営者協会が実施した「2021年6月度定期賃金調査」によると、総合職・大学卒のモデル賃金は22歳22.3万円、35歳38.4万円、45歳53.0万円などとなり、ピークを迎える55歳は61.1万円だった。50歳が3.4%増などとベテラン層では伸びた一方、若年層の伸び率は1%前後に留まっている。22歳に対するピーク時の倍率は2.74倍となった。役職者賃金は、部長が1.8%増の72.0万円、課長が0.5%増の54.4万円、係長が0.6%減の41.1万円などとなっている。

日数、時間数の合意を――厚労省

厚生労働省は、需要の繁閑へ対応したシフト制労働者が拡大しているとして、適切な雇用管理に向けた「留意事項」を明らかにした。シフト勤務開始前に提示するシフト表により労働日、労働時間などの変更を使用者または労働者が申し出る場合の期限・手続きや、一定のシフト勤務期間において労働する可能性がある最大の日数、時間数、時間帯を労働者と使用者で話し合い、あらかじめ合意することが望まれるとした。ほとんどの労働日などが使用者の都合により設定されており、労働紛争に発展することがあると指摘している。

船舶所有者 「健康検査」活用を徹底――国交省・船員法施行規則改正省令案

国土交通省は、船舶所有者による船員の健康確保対策を盛り込んだ船員法施行規則等改正省令案を明らかにした。昨年10月にまとめた省令案に修正を加えたもので、船員がおおむね1年に1回受けている「健康検査」を通じた健康管理制度を創設するとしている。船舶所有者に対し、常時使用する船員が同検査を受けた際、船員から医師の診断書を提出させるよう義務付ける。検査結果が有所見だった場合は医師から意見を聴取し、必要に応じて就業場所の変更などを行う。施行予定は令和5年4月1日。